炎症性腸疾患と気管支拡張症のリスク
2024年 08月 07日
とりわけIBDの患者さんに気管支拡張症が多いと感じていませんが、消化器内科の先生からすると、そうなのかもしれません。
- 概要
■炎症性腸疾患 (IBD) と気管支拡張症のリスク増加との関連性と影響因子は不明である。また、気管支拡張症が IBD の疾病負担を増加させるかどうかも不明である。
■この研究の目的は、①IBD が気管支拡張症の発症リスクを増加させるかどうか、②クローン病 (CD) 患者と潰瘍性大腸炎 (UC) 患者の間で気管支拡張症のリスクに差はあるか、③IBD 患者の気管支拡張症のリスク因子を同定する、④IBD および気管支拡張症の有無ごとの疾病負担を調べること、である。
■2002 年から 2012 年にかけて韓国国民健康保険公団の全国サンプルコホートデータベースから取得したデータを使用して、20 歳以上の IBD 患者を対象とした人口ベースのマッチコホート研究を実施した。
■平均9.6年間の追跡期間中、IBD患者とマッチコホートにおける気管支拡張症の発生率は、それぞれ 10万人年あたり 419.63 人と 309.65 人だった (調整ハザード比 1.21、95%信頼区間1.05-1.39)。UC は気管支拡張症のリスク増加と関連していた (調整ハザード比1.42、95%信頼区間1.19-1.69) 。しかしながら、CD は関連していなかった。
■多変量 Cox 回帰分析の結果、年齢、男性、医療助成、低体重、COPD、糖尿病は IBD コホートにおける気管支拡張症のリスク増加と関連していることが示された (p<0.05)。
■IBD および気管支拡張症のある人の死亡率、救急外来受診率、入院率は、気管支拡張症のない人と比較して有意に高かった (p<0.05)。
■IBD は気管支拡張症のリスク増加と関連しており、その結果 IBD 患者の疾病負担が増大する。
by otowelt
| 2024-08-07 00:15
| 呼吸器その他