日本における非HIV-PCPの死亡リスク
2024年 08月 21日
谷口順平先生の論文です。毎日呼吸器系の論文を読んでいると「あの先生はたくさん書いている」というのが、とてもクリアに見えてきます。
日本のDPCデータからみた非HIV-PCPの貴重なデータです。
- 概要
■日本のDPCデータベースを用いて、HIVに感染していないニューモシスチス肺炎(PCP)患者の院内死亡率の予後因子を調査した。
■2010年7月から2022年3月までの非HIV-PCP患者のデータをDPCデータベースから抽出した。多変量ロジスティック回帰分析を行って、非HIV-PCPの院内死亡率の予後因子を同定した。
■非HIV-PCP患者1,704名のうち、院内死亡は404名(23.7%)であった。院内死亡率の高さは、高齢、男性(オッズ比1.45、95%信頼区間1.06-2.00)、低Barthel指数、非血液悪性腫瘍(オッズ比1.81、95%信頼区間1.22-2.70)、人工呼吸器の使用(オッズ比2.49、95%信頼区間1.47-4.21)、抗菌薬投与(オッズ比1.52、95%信頼区間1.12-2.06)、抗真菌薬投与(オッズ比1.83、95%信頼区間1.26-2.67)と関連していた。院内死亡率の低下は、結合組織疾患・血管炎(オッズ比0.55、95%信頼区間0.37-0.81)、血液悪性腫瘍(オッズ比0.59、95%信頼区間0.38-0.93)、早期のST合剤治療(オッズ比0.63、95%信頼区間0.44-0.90)と関連していた。
■これらの知見は、早期の積極的PCP治療介入から医学的利益が得られる層を同定する上で役立つだろう。
by otowelt
| 2024-08-21 00:42
| 感染症全般