RHINESSA研究:慢性咳嗽は子供へ受け継がれる

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親子の慢性咳嗽を数組診療していますが、そういうことなのかもしれない。・・・と思ったのですが、お互い喘息を持っていたり、喫煙者だったり、割と遺伝と言い切るのは難しいかもしれません。





  • 咳嗽
■この研究は、親とその成人した子供における慢性咳嗽の遺伝性を評価するために実施された。慢性咳嗽は一般人口において約10%の有病率があり、生活の質を著しく悪化させ、休養を増加させることが知られている。この研究の主な目的は、親の慢性咳嗽が子供にも引き継がれるかどうか、さらに咳のタイプ(乾性咳嗽と湿性咳嗽)が遺伝性に影響を与えるかどうかを評価することである。

■RHINESSA研究は、北ヨーロッパ、スペイン、オーストラリアの親子を対象にした大規模な疫学調査である。2000年と2010年に親(当時30-54歳)7,155人が詳細なアンケートに回答し、2012年から2019年の間に20歳以上の子供8,176人が同様のアンケートに回答した。混合効果ロジスティック回帰モデルを用いて、子供の年齢、性別、BMI、喫煙歴、教育レベル、喘息、鼻炎、夜間逆流性食道炎などの要因を調整し、解析した。

■親が乾性咳嗽を持つ場合、その子供の11%が乾性咳嗽を報告し、親に乾性咳嗽がない場合は7%にとどまった(調整オッズ比1.59、95%信頼区間1.20-2.10)。親が湿性咳嗽を持つ場合、その子供の14%が湿性咳嗽を報告し、親に湿性咳嗽がない場合は11%だった(調整オッズ比1.34、95%信頼区間1.07-1.67)。親の湿性咳嗽と子供の乾性咳嗽、またはその逆の組み合わせには関連がみられなかった。

■この研究は、親の慢性咳嗽が子供にも引き継がれる可能性があることを示している。特に、乾性咳嗽は親から子供に乾性咳嗽としてのみ伝わり、湿性咳嗽も同様に湿性咳嗽として伝わることが確認された。これらの関連性は、喘息などの他の要因とは独立していることが示された。特定の遺伝的要因は同定されなかったが、湿性咳嗽に関しては、喫煙が主要な要因である可能性がある。その他、大気汚染などの環境要因の影響も考えられる。





by otowelt | 2024-08-29 00:22 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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