ZEPHYRUS-1研究:IPFに対するパムレブルマブは有効でない



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これはすでに国際学会でも発表されている通りです。




  • 概要
■IPFは進行性の線維化性肺疾患で、現在の治療法では肺機能低下を遅らせることはできるものの、副作用のため継続が困難な場合がある。パムレブルマブはCTGFを阻害剤する抗体薬で、第II相試験では有望な結果が得られていた。

■40-85歳のIPF患者356人(平均70.5歳、72.5%が男性)が対象の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。パムレブルマブ群(181人)は30mg/kgを3週間ごとに静脈内投与され、プラセボ群(175人) が設定された。主要評価項目は、ベースラインから48週後までのFVCの絶対変化量とした。

■主要評価項目において、パムレブルマブ群: FVC低下260mL (95%CI: -350〜-170mL) プラセボ群: FVC低下330mL (95%CI: -430〜-230mL) 、群間差: 70mL (95%CI: -60〜190mL、p=0.29)で有意差はみられなかった。疾患進行までの時間、臨床複合アウトカム、急性増悪、死亡、呼吸器関連入院など、いずれも有意差はなかった。

■有害事象発現率は、パムレブルマブ群88.4%、プラセボ群86.3%で、重篤な有害事象はパムレブルマブ群28.2%、プラセボ群34.3%だった。死亡は両群とも23人(パムレブルマブ群12.7%、プラセボ群13.1%) だった。

■パムレブルマブはIPF患者のFVC低下を有意に抑制せず、他の臨床アウトカムでも有意な改善を示さなかった。安全性プロファイルはプラセボと同程度だった。第II相試験とは異なり、FVC低下抑制効果が示されなかった。ベースラインの肺機能がより低く、症状がより重度な患者が含まれたことや、試験中にニンテダニブやピルフェニドンの追加使用が許可されたことなどが理由と考えられる。オープンラベル延長試験および並行して進行中だったZEPHYRUS-2試験は中止された。






by otowelt | 2024-08-08 00:17 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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