自己免疫性肺胞蛋白症の4人に1人が肺線維症を起こす

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遭遇する頻度は非常に低いですが、貴重な報告と思います。イベント総数が不十分であったため、多変量解析は実施されていません。




  • 概要
■2008年から2018年の間にフランスとベルギーで新たにaPAPと診断された患者61名を対象とした。

■診断時と少なくとも1年後の胸部CTデータが利用可能な患者だけを含め、診療記録から標準化された質問票を用いてデータを収集した。CT画像は3名の読影者によって評価され、肺病変の程度や線維化の重症度がスコア化された。

■診断時のCTで5名(8%)に肺線維症が認められた。平均4.6年の追跡期間後、最終的に16名(26%)に線維症が観察された。このうち11名は追跡期間中に新たに線維症を発症し、10名は牽引性気管支拡張(スコア1)、1名は蜂巣肺(スコア3)を示した。つまり、aPAP患者の約4分の1が経過中に肺線維症を発症する可能性があることを示しており、従来考えられていたよりも高頻度であることが明らかになった。

■線維症を発症した患者は、そうでない患者と比較して粉塵曝露の頻度が有意に高かった(62% vs 28%, p=0.015)。単変量解析において、粉塵曝露は肺線維症発症のリスク因子であることが示された(オッズ比4.3; p=0.038)。 建設業での就労経験がある患者を粉塵曝露ありと定義している。

■線維症を発症した患者は、そうでない患者と比較して有意に高齢であった(47.6歳 vs 41.0歳, p=0.046)。

■線維症を発症した患者は、そうでない患者と比較して呼吸困難の訴えが多かった(94% vs 65%, p=0.045)。

■全死因死亡率は、線維症を発症した患者で有意に高かった(25% vs 4.4%, p=0.036)。 単変量解析では線維症の発症が死亡リスクを約7倍高めることが示された(オッズ比7.17; 95%信頼区間1.25-56.44)。

■全肺洗浄(WLL)、リツキシマブ、GM-CSF療法を受けた患者と受けなかった患者の間で、線維症の発症率に有意差は観察されなかった(治療群57% vs 非治療群62%, p=0.69)。






by otowelt | 2024-08-12 00:38 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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