重症喘息の有病率の変遷
2024年 08月 15日
論文にも書かれているようにOCS定期使用者が減っていないことが課題と言えます。タイプ2炎症が強いケースでは、生物学的製剤がかなり効果的と思います。「高額だからやめておきましょう」と、色々な病院で言われ続けて生物学的製剤が処方されていないこともあります。「こんなに呼吸がラクになるなら、月〇万円なら払ったのに」とおっしゃった患者さんもおられました。
- 概要
■この研究は、日本の国民健康保険データベースを用いて、2013年から2019年にかけての喘息患者の状況を分析したものである。
■喘息の有病率と重症度の推移
・軽症~中等症の喘息有病率は、2013年から2019年にかけてほぼ一定で、10万人あたり約800人だった。
・重症喘息の有病率は、同期間に減少傾向を示し、10万人あたり48人から36人に低下した。全喘息患者に占める重症喘息患者の割合は、2013年の5.6%から2019年には4.3%に減少した。
■喘息患者の特徴
・喘息患者の約60%が女性だった。
・軽症~中等症の喘息患者の年齢中央値は58歳、重症喘息患者では71歳だった。
・重症喘息患者は高齢者の割合が高く、80歳以上の群が最多だった(28%)。
・重症喘息患者は、軽症~中等症の患者と比較して、より多くの併存疾患を有していた。
■喘息治療の傾向
・ICS/LABA併用が増加し、2019年には軽症~中等症の喘息患者の59%、重症喘息患者の62%が使用していた。
・生物学的製剤の使用が増加し、2019年には重症喘息患者の12%が使用していた。
・OCS定期使用は、重症喘息患者で59%から76%に増加した。
・キサンチン製剤の使用は減少傾向にで、LTRA使用は増加した。
■喘息のコントロール
・軽症~中等症の喘息患者の約15%、重症喘息患者の約45%が喘息のコントロール不良だった。
・コントロール不良の割合は高齢者で高く、若年層の重症喘息患者でも30-40%に達していた。
・コントロール不良患者は、より多くの併存疾患を有し、より多くの薬剤を使用していた。
■医療費
・軽症~中等症の喘息患者の年間医療費中央値は減少したが、重症喘息患者では増加していた。
■死亡
・喘息による死亡は減少傾向にあり、軽症~中等症の喘息患者で0.16%から0.10%に、重症喘息患者で1.94%から1.46%に減少していた。
・喘息による死亡者の約60%が軽症~中等症の喘息患者で占められていた。
by otowelt
| 2024-08-15 00:50
| 気管支喘息・COPD