ERS:肺胞蛋白症ガイドライン
2024年 08月 18日
ERSから肺胞蛋白症のガイドラインが刊行されました。200ページ以上あります・・・。
・Recommendation: 自己免疫性肺胞蛋白症でガス交換障害のエビデンスがあり、症状または機能障害のある患者に両側全肺洗浄を実施することを推奨する(強い推奨、非常に低い確実性)。
・Summary of evidence: 26の後ろ向き症例シリーズ(計490患者)を分析。全肺洗浄後、症状、酸素化(PaO2、A-a DO2)、肺機能(DLCO)の改善が報告された。しかし、FVCの明確な改善は観察されなかった。重大な有害事象や死亡は稀だった。
■吸入GM-CSF
・Recommendation: 自己免疫性肺胞蛋白症の症状がある患者に吸入GM-CSFを推奨する(強い推奨、非常に低い確実性の証拠)。
・Summary of evidence: 3つのRCT、1つの比較観察研究、7つの非比較観察研究を分析したところ、間欠的な吸入GM-CSFは、プラセボと比較してA-a DO2、PaO2、DLCOを改善させる可能性があることが示唆された。6分間歩行距離、肺活量、症状に関しては効果が一定ではなかった。重大な有害事象は報告されなかった。
■リツキシマブ
・Recommendation: WLLや吸入GM-CSF治療にもかかわらず、酸素投与を要する症状持続性の自己免疫性肺胞蛋白症患者にリツキシマブの使用を提案する(条件付き推奨、非常に低い確実性)。
・Summary of evidence: 1つの単群介入研究(10患者)、1つの後ろ向き症例シリーズ(11患者)、7つの症例報告を分析。リツキシマブがA-a DO2とPaO2を改善させる可能性が示唆されたが、DLCO、FVC、6分間歩行距離への影響は明確ではなかった。死亡や重大な有害事象は観察されなかった。
■血漿交換
・Recommendation:以下の2つを満たす場合に推奨(条件付き推奨、非常に低い確実性)
1.GM-CSF吸入療法とリツキシマブ治療を受けている、また過去にこれらの治療が効果を示さなかった
2.高流量の酸素投与(≥4L /分)を必要とするか1年間に2回以上のWLLを必要とする
1.GM-CSF吸入療法とリツキシマブ治療を受けている、また過去にこれらの治療が効果を示さなかった
2.高流量の酸素投与(≥4L /分)を必要とするか1年間に2回以上のWLLを必要とする
・Summary of evidence: 9つの症例報告のみが利用可能だった。一部の患者で症状、酸素化、放射線学的所見の改善が報告されたが、効果は一貫していなかった。GM-CSF抗体価の有意な減少が5/9症例で報告された。安全性に関する情報は限られていた。
■肺移植
・Recommendation: WLLおよび/または薬物治療にもかかわらず進行する肺胞蛋白症患者で、間質性肺疾患患者に対する国際心肺移植学会(ISHLT)の基準を満たす患者に肺移植を提案する(条件付き推奨、非常に低い確実性)
・Summary of evidence: 14の症例報告(8成人、6小児)を分析。肺機能、酸素需要、QOLの改善が報告された。しかし、感染症などの有害事象も報告された。3症例で移植肺における肺胞蛋白症の再発が報告された。ISHLTのデータによると、101人の肺移植患者のうち43人が観察期間終了時に死亡していたが、再発による移植片機能不全は報告されなかった。
by otowelt
| 2024-08-18 00:14
| びまん性肺疾患