アメリカにおけるCOPD初回治療の大半がガイドラインを逸脱

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日本ではLAMAあるいはLAMA/LABAが主流になりつつありますが(個人的には初回からLAMA/LABAが多い)、アメリカではICS/LABAが最多なのですね。




  • 概要
■COPDの初期診断後、適切な維持療法(単剤または2剤の気管支拡張薬)を迅速に開始することが推奨されているが、多くの患者は診断時に維持療法を処方されていない。この研究は、アメリカにおけるCOPD新規診断患者の薬物治療パターンと転帰を評価することを目的とした。

■Inovalon Insightsデータベースを用いた後ろ向き非介入研究である。2015年1月1日から2021年12月31日までのデータを使用した。

■COPD初回診断から4年間の患者経過を追跡した。主要評価項目は中等度または重度の増悪の回数で、副次評価項目は増悪の累積発生率、中等度・重度増悪の平均回数、未治療患者の増悪率、社会人口統計学的・臨床的特性、薬物治療パターンとした。

■対象コホートには23万8,158人のCOPD新規診断患者が含まれた。平均年齢は、63.8歳、女性は52.9%だった。46.2%がメディケイド加入者だった。4年間の追跡期間中、32.9%が少なくとも1回の中等度または重度の増悪を経験し、13.8%が重度増悪を経験した。増悪率(人年あたり)は、1年目で中等度0.15、重度0.07、4年目で中等度0.13、重度0.06だった。

■診断時、86.2%が未治療だった。治療を受けた患者のうち62.0%がICS/LABAを使用した。4年間の追跡期間終了時も、63.8%が依然として未治療のままだった。治療を受けた患者のうち58.0%がICS/LABAを使用していた。

■多くの患者がCOPD診断時に未治療で、4年後も未治療のままだった。治療を受けた患者の中では、ICS/LABAが最も一般的だった。しかし、現在のガイドラインではLAMA/LABA併用がほとんどの患者にとって最適とされている。LAMA単剤やLAMA/LABA併用の使用が少ないことは、推奨ガイドラインの遵守が不十分であることを示唆している。

■limitation:医療機関を受診した患者のみが対象となっているため、選択バイアスが存在するかもしれない。





by otowelt | 2024-09-09 00:24 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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