下田基準:胸水ADA高値のフローチャートのバリデーション
2024年 08月 30日
私も共著者としてか関わらせていただきました。よし、この研究について触れるときは「われわれの研究グループ」と言おう!いや、「下田とその仲間たち」かな・・・。胸水ADAに関してはもうこの「下田基準」が当たり前になっていますので、世界的に「Shimoda」を広めていいと思います。
作図がめんどくさかったので、下田先生が作った翻訳の図をそのまま転用します。(おい 笑)
■胸水中ADAは結核性胸膜炎の診断に有用なマーカーだが、最近の研究では特異度が低下している。研究者らは以前、ADA≥40 U/Lの患者を対象に、胸水LDH、好中球優位または細胞変性、ADA/TP比を用いた診断フローチャートを開発した(図1)。 この研究の目的は、そのフローチャートの妥当性を検証することである。
■8つの医療機関から、胸水ADA≥40 U/Lの458名の患者データをレトロスペクティブに収集した。 フローチャートの診断精度、感度、特異度を分析し、元の研究と比較した。
■87名が結核性胸膜炎、371名がその他の疾患と診断されまた。フローチャートの診断精度は77.7%、感度86.2%、特異度75.7%であった。 元の研究と比較して、結核性胸膜炎の割合は低かった(19.0% vs 44.5%)が、診断精度に有意差はなかった。
以前の研究:結核性胸膜炎有病率44.5%:フローチャートの診断精度は80.9%、感度80.9%、特異度78.8%
今回の研究:結核胸膜炎有病率19%:フローチャート診断精度は77.7%、感度86.2%、特異度75.7%
グループBの診断精度が検証研究で低かったため(23.2% vs 53.6%)、結核性のふるいわけが明確におこなえないということで、フローチャートでIndeterminateに改訂された。
図2. 下田基準(新しいもの)
■改訂されたADA高値のフローチャートは、結核の発生が低い環境でも有用であることが確認された。しかし、自己免疫疾患や悪性胸水(特に中皮腫)などの一部の疾患では、依然として鑑別が困難な場合がある。
by otowelt
| 2024-08-30 00:08
| 抗酸菌感染症