肺高血圧症における在宅酸素療法の適用率


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スペインの大規模コホートからの報告です。おおむね20%程度という報告です。




  • 概要
■肺高血圧症 (PH) の患者は、安静時または日常活動中に低酸素血症を呈することがある。PH 患者に対する長期酸素療法 (LTOT) の処方に関する疫学的データはない。この研究では、スペインにおける肺動脈性肺高血圧症 (PAH) または慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (CTEPH) の患者における LTOT 処方の有病率と発生率を分析し、予測因子を特定することを目的とした。

■スペイン肺動脈性肺高血圧症レジストリ (REHAP) から後ろ向き解析を実施した。収集されたデータには、人口統計、身体測定値、WHO機能クラス (FC)、動脈血ガス分析、肺機能検査、血行動態測定、6 分間歩行距離 (6MWD)、LTOT 処方が含まれた。さらに、PHグループとサブタイプ別にLTOT処方率、診断後最初の5年間のLTOT 開始の潜在的な予測因子を評価した。

■4533 人の患者 (69.9% PAH、30.1% CTEPH) を分析した。そのほとんどは女性 (64.5%) で、平均年齢は 53.0 ± 18.3 歳だった。LTOTは全患者で19.3%に適用されていた。LTOT開始は、2010 年から 2019 年の間に5.6%から1.6%に減少していた。

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. PHにおけるLTOT適用患者数(文献より引用)

■LTOTの予測因子は、FC (ハザード比1.813)、6MWD (ハザード比1.002)、平均肺動脈圧 (mPAP) (ハザード比1.014)、心係数 (CI) (ハザード比1.253)、肺血管抵抗 (PVR) (ハザード比1.023)、DLCO (ハザード比1.294) だった。

■PAH および CTEPH 患者の LTOT 適用率は20%近くにのぼる。FC、6MWD、mPAP、CI、PVR、DLCOはLTOT開始の予測因子だった。





by otowelt | 2024-09-27 00:41 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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