BETTER-B試験:呼吸困難に対するミルタザピン
2024年 10月 03日
BETTER-B試験の結果です。プラセボとミルタザピンの間に、忍容性あるいは安全性に差はみられなかったため立案された研究でした。
■呼吸器疾患患者では息切れがひどくなることが多い。広く使用されている抗うつ薬であるミルタザピンは、呼吸感覚の調節やそれに対する反応、また息苦しさにしばしば伴うパニック感情の軽減に有望である。われわれは、ミルタザピンの持続する重度の息切れを緩和する効果を明らかにすることを目的とした。
■国際多施設共同第3相並行群間二重盲検ランダム化プラセボ対照試験(BETTER-B)が、7か国(オーストラリア、ドイツ、アイルランド、イタリア、ニュージーランド、ポーランド、イギリス)の16施設で行われ、COPD、ILD、またはその両方を有し、mMRCグレード3または4の成人を対象とした。ミルタザピンまたはプラセボを56日間経口投与する群のいずれかにランダム化され割り付けられた。ミルタザピンの初回投与量は15mgで、1日最大45mgまで漸増し、治療終了時に漸減した。
■主要アウトカムは、治療開始後56日目に0-10のNRSで測定された24時間前の最悪の呼吸困難で、180日まで追跡された。多変量多段階反復測定モデルを用いて修正ITT集団で行った。
■2021年2月4日から2023年3月28日の間に、225人の参加者が登録された(男性148人、女性77人、ミルタザピン群113人、プラセボ群112人)。年齢中央値は74歳(IQR 67-78)であった。56日目の最悪の呼吸困難において、ミルタザピンとプラセボとの間に群間差はなかった(調整NRSスコア平均差0.105[95%CI -0.407〜0.618];p=0.69)。事前に規定されたスコアの減少に対する治療効果には達しなかった。
■有害事象はミルタザピン群113例中72例(64%)に215件、プラセボ群110例中44例(40%)に116件、重篤な有害事象はミルタザピン群6例(5%)に11件、プラセボ群7例(6%)に8件、予期せぬ重篤な有害事象と疑われるものはミルタザピン群1例(1%)であった。56日目における死亡はミルタザピン群で3例、プラセボ群で2例であった。180日目の死亡はミルタザピン群で7例、プラセボ群で11例であった。
■ミルタザピンを1日15~45mgを56日間投与してもCOPDまたはILD患者の重度の呼吸困難は改善されなかった。ミルタザピンを重度の息苦しさを緩和する治療薬として推奨されない。
by otowelt
| 2024-10-03 00:23
| 呼吸器その他