AIRLEAF試験:気管支拡張症に対する新規カテプシンC(DPP-1)阻害薬
2024年 09月 15日
現在、ブレンソカチブがアメリカにてNDA前と聞いています。来年に上市されるのではとの見込み。めちゃくちゃ患者数が多い集団であることも後押しして、ベーリンガー社が追いかける構図となっています。
ERSでは、筆頭著者のChalmers先生がSNSでこの試験についてつぶやいていました。
- 概要
■カテプシンC(CatC)(DPP-1)阻害薬は、気管支拡張症患者の肺における好中球セリンプロテアーゼ(NSP)活性を抑制することで、炎症と組織破壊を軽減することが期待されている。
■AIRLEAF試験は、322名の成人気管支拡張症患者を対象に、プラセボ対照二重盲検ランダム化試験として実施された。患者は4群(プラセボ、BI 1291583 1mg、2.5mg、5mg)にランダムに割り付けられ、24〜48週間の治療を受けた。主要評価項目は48週間までの初回肺増悪までの時間とされた。
■主要評価項目:
BI 1291583は、48週間までの初回肺増悪までの時間に関して、統計的に有意な用量依存的効果を示した(p=0.0448)。
■個別の用量効果(初回肺増悪までの時間):
・5mg群 vs プラセボ:29%のリスク減少(ハザード比 0.71, 95%CI: 0.48-1.05, p=0.0857) 。ただし統計的に有意ではなかった。
・2.5mg群 vs プラセボ:34%のリスク減少(ハザード比 0.66, 95%CI: 0.40-1.08) 。ただし統計的に有意ではなかった。
・1mg群 vs プラセボ:7%のリスク減少(ハザード比 0.93, 95%CI: 0.60-1.45)。ただし統計的に有意ではなかった。
■年間増悪率
・5mg群:11%減少(率比0.89, 95%CI: 0.63-1.26) 。ただし統計的に有意ではなかった。
・2.5mg群:32%減少(率比0.68, 95%CI: 0.43-1.08)。ただし統計的に有意ではなかった。
・1mg群:3%増加(率比1.03, 95%CI: 0.69-1.56)。ただし統計的に有意ではなかった。
■肺機能(FEV1)の変化(24週時点)
・5mg群:プラセボと比較して6.6mL改善(95%CI: -49.1 to 62.3)
・2.5mg群:プラセボと比較して52.4mL改善(95%CI: -13.8 to 118.6)
・1mg群:プラセボと比較して22.9mL改善(95%CI: -42.9 to 88.7)
■SGRQスコアのレスポンダー率(24週時点):
・5mg群:51.5%(プラセボとの差 3.9%, 95%CI: -9.7 to 17.4)
・2.5mg群:62.7%(プラセボとの差 15.2%, 95%CI: -1.5 to 30.4)
・1mg群:45.1%(プラセボとの差 -2.5%, 95%CI: -18.5 to 14.0)
・プラセボ群:47.6%
全体として、1mg群はプラセボと同程度の効果しか示さず、治療下限量と考えられた。 安全性に関しては、有害事象の発生率はプラセボ群と同程度か、むしろBI 1291583群で低い傾向にあった。CatC阻害に関連する皮膚や歯周組織の有害事象も、軽度から中等度のものが主で、重篤な問題は報告されなかった。
■BI 1291583の潜在的な有効性と安全性を示唆しているが、統計的に有意な結論を導くには、計画されている大規模な第III相試験(AIRTIVITY)の結果を待つ必要がある
by otowelt
| 2024-09-15 00:27
| 呼吸器その他