市中肺炎に対するセフトリアキソン1g12時間ごと vs 2g24時間ごと


市中肺炎に対するセフトリアキソン1g12時間ごと vs 2g24時間ごと_e0156318_14104106.png
貴重な研究になると思います。看護師さんの業務簡便性の観点からは、24時間ごとのほうがよさそうですが・・・。アンピシリン/スルバクタムに比べたら、いずれもまだマシな回数と言えます。




  • 概要
■市中肺炎(CAP)の経験的治療としてのCTRXの投与量と投与方法の違いによる有効性と安全性に関する前向きのエビデンスは限られている。この研究は、入院成人CAP患者を対象に、CTRXの1g1日2回(1gq12hr)投与と2g1日1回(2gq24hr)投与の間で、初期治療失敗、30日死亡率、副作用を比較することを目的とした。

■2010年10月から2018年12月の間に倉敷中央病院に入院したCAP患者を前向きに登録した。CTRXを1gq12hrまたは2gq24hrで初期治療された患者を分析対象としました。

■主要評価項目は初期治療失敗で、副次評価項目は30日死亡率と副作用である。バイアスを最小限に抑えるため、逆確率治療重み付け(IPTW)分析を用いた。

■総計457人のCAP患者のうち、186人が1gq12hr群、271人が2gq24hr群でした。患者背景は両群でほぼ同等だったが、体温に関しては有意差があった(p=0.02)。

■IPTW分析後の結果、初期治療失敗率は1gq12hr群:2.43% vs 2gq24hr群:4.46%(p=0.27)と有意差はなかった。30日死亡率についても1gq12hr群:2.95% vs 2gq24hr群:6.43%(p=0.13)で有意差はなかった。副作用の頻度は1gq12hr群:1.04% vs 2gq24hr群:4.20%(p=0.08)で、統計学的有意差はないが、臨床的に重要な傾向が確認された。

■副作用の内訳は、肝機能障害:1gq12hr群 1例(0.54%)、2gq24hr群 6例(2.21%)、薬剤熱:1gq12hr群 1例(0.54%)、2gq24hr群 4例(1.48%)だった。

■この研究では、成人CAP患者におけるCTRXの1gq12hr投与と2gq24hr投与の間で、有効性や安全性に関して統計学的に有意差はみられなかった。しかしながら、副作用の観点からは1gq12hrがより安全な選択肢である可能性が示唆された。





by otowelt | 2024-09-23 14:12 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31