SELECT試験:CTEPHに対するセレキシパグ

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ウプトラビの位置づけがなかなか難しいですね。日本人CTEPH患者を対象とした第III相試験ではセレキシパグのPVR改善効果が示されており(平均差 -93.5 [95%信頼区間-156.8, -30.3] dyn∙sec/cm5; p=0.006、Eur Respir J 2022; 60: 2101694)、PAH患者を対象としたTRITON試験では、PVRに差はなかったものの長期的な臨床的悪化抑制効果が示唆されています(J Am Coll Cardiol 2021: 78: 1393-1403)。




  • 概要
■SELECT試験は、手術不能または持続/再発性CTEPH患者を対象に、セレキシパグと標準治療を比較した初の国際多施設共同ランダム化プラセボ対照比較試験である。

■WHO 機能分類 I-IVで6分間歩行距離 (6MWD) が 100-450mの85歳以下の成人を、セレキシパグ (200-1600 µg、1日2 回、個人の最大耐用量まで漸増) + 標準治療、またはプラセボ + 標準治療にランダムに 1:1の割合で登録した。患者は、血行動態セット(ランダム化された最初の 91 名の患者は20週目に右心カテーテルを受ける;)または非血行動態コホート(残りの患者、右心カテーテルは不要)に登録された。主要評価項目は、20週時点での肺血管抵抗(PVR)のベースラインからの変化率とした。

■スクリーニングされた 321 名の患者のうち、128 名がランダム化された (血行動態セット: n=91 [セレキシパグ: n=47、プラセボ: n=44])。血行動態セットでは、29 名 (31.9%) の患者が以前にPEA を受けており、20 名 (22.0%) がBPAを受けており、14 名 (15.4%) がPEAとBPAの両方を受けており、28 名 (30.8%) は手術不能だった。

■主要評価項目(治療間のPVRの幾何最小二乗平均比:0.95 [95% CI 0.84、1.07、p=0.412])に統計的に有意な差が見られなかったため、無益性のため研究を中止するよう勧告された。6分間歩行距離、臨床悪化までの時間などの副次評価項目でも有意差はなかった。有害事象は、セレキシパグとプラセボでそれぞれ63人(98.4%)と53人(82.8%)の患者で報告された。

■PVRに対する治療効果が見られなかったため、SELECT試験は無益性のため中止された。





by otowelt | 2024-10-12 03:46 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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