関節リウマチの2割が閉塞性換気障害
2024年 10月 15日
関節リウマチにおける気道病変は、特に呼吸器内科医は閾値を下げて機能的な介入を行うべきと思います。ILDがなくても、1秒率は思ったより低いです。
- 概要
■この論文は、関節リウマチ患者における気道異常について調査した前向きコホート研究である。
■肺機能検査(PFT)、高分解能CT(HRCT)、定量的CT(qCT)解析を用いて、RA患者における気道異常のベースラインの頻度を評価することを目的とした。
■臨床的にILDと診断されていない188人のRA患者を対象に、HRCT、PFT、血液検査を実施した。放射線科医がHRCTの気道異常を評価した。147件のHRCTに対してqCT解析が実施された。気道壁厚(WT%)と気腫率(Emph%)を主要な定量的指標として使用した。UCSD息切れ質問票(UCSD SOB)と咳の重症度VASで呼吸器症状を評価した。
■肺機能検査による評価では、183人中38人(20.7%)のRA患者で1秒率<0.7の気流閉塞を認めた。既存の喘息やCOPD診断のある患者を除いても、146人中26人(18.9%)に気流閉塞がみられた。閉塞のある患者は、有意に高齢で、喫煙歴が多く、%予測1秒量、%予測FVC、%予測DLCOが低かった。 血清反応陽性率、メトトレキサート使用、RA活動性、罹病期間に有意差はなかった。気流閉塞とUCSD SOBスコアや咳VASスコアとの間に有意な関連は見られなかった。
■放射線科医によるHRCT評価では、183人中112人(61%)に少なくとも1つの気道異常が認められた。内訳としては、気管支壁肥厚104人(57%)、牽引性変化がない気管支拡張症23人(13%)、モザイク陰影9人(5%)だった。気道異常のある患者は、有意に高齢で、男性の割合が高く、1秒量、FVC、1秒率が低く、リウマトイド因子陽性率が高かった。放射線科医による気道異常の評価とUCSD SOBスコアや咳VASスコアとの間に有意な関連は見られなかった。
■qCT解析では、WT%中央値25.3 (3.43)、Emph%中央値1.4 (2.8) WT%は、低い%予測FEV1、長いRA罹病期間、高いRA疾患活動性と有意に関連していた。Emph%は高齢、低い%予測DLCO、低い%予測1秒率、高いRA疾患活動性と有意に関連していた。多変量解析で、WT%とEmph%はUCSD SOBスコアと有意に関連していた(WT%: β = 1.79, p <0.01; Emph%: β = 1.3, p =0.01)。 また、Emph%は咳VASスコアとも有意に関連していた(β = 1.3, p =0.01)。非喫煙者のみの感度分析でも、WT%とEmph%はUCSD SOBスコアと有意に関連していた。
■本研究では、3つの異なる方法(PFT、放射線科医によるHRCT評価、qCT)を用いてRA患者の気道異常を評価し、高率に異常所見が確認された。PFTでは20%のRA患者に気流閉塞があり、既存の喘息やCOPD診断を除外しても18.9%に有意な閉塞がみられた。これは、RAに関連する気道疾患(RA-AWD)が独立した疾患entityとして存在する可能性を示唆している。放射線科医によるHRCT評価では、61%のRA患者に気道異常が認められ、特に気管支壁肥厚が最も多く見られました。これは、RAにおける気道病変が広範囲に及ぶことを示している。 qCT解析では、WT%とEmph%が呼吸器症状(UCSD SOBスコア、咳VASスコア)と有意に関連していた。これは、qCTが臨床的に意味のある気道異常を検出する上で、PFTや放射線科医によるHRCT評価よりも感度が高い可能性を示唆している。
by otowelt
| 2024-10-15 00:19
| びまん性肺疾患