気管支拡張症の有病率
2024年 10月 18日
読み間違いかなと思ったら、確かに4億人でした。Fengらの研究が組み込まれている中国の95%信頼区間はちょっと違和感を感じますが・・・。
- 概要
■この論文は、成人における気管支拡張症の有病率に関するメタアナリシスである。気管支拡張症は以前は希少疾患と考えられていたが、近年その有病率・罹患率の増加や医療コストの上昇によって、世界的に注目されるようになっている。しかし、気管支拡張症の正確な有病率は不明確である。この研究は、成人における気管支拡張症の有病率を推定することである。
■PubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceのデータベースを用いて、2024年5月31日までに発表された気管支拡張症の有病率に関する研究を検索した。18歳以上の患者を対象とし、気管支拡張症の有病率を報告している観察研究を対象とした。研究の選択、データ抽出、バイアスリスクの評価を2名の研究者が独立しておこなった。
■15の研究、総サンプル数4億3785万1478人を対象としたメタアナリシスの結果、成人における気管支拡張症の推定有病率は10万人あたり680人(95%信頼区間634–727)だった。国別の有病率をみると、アメリカは10万人あたり478人 (95%信頼区間367–588)、韓国は10万人あたり886人 (95%信頼区間778–993)、中国は10万人あたり759人 (95%信頼区間35–2399)だった。男性は10万人あたり467人 (95%信頼区間416–518)、女性は10万人あたり535人 (95%信頼区間477–592)だった。喫煙状況でみると、非喫煙者は10万人あたり3,958人 (95%信頼区間117–12,637)、既喫煙者10万人あたり4,677人 (95%信頼区間427–8,928)、現喫煙者10万人あたり3,630人 (95%信頼区間158–7103)だった。BMI別にみると、BMI < 18.5で10万人あたり430人 (95%信頼区間411–450)、BMI 18.5–24.9で10万人あたり380人 (95%信頼区間374–386)、BMI ≥ 25で10万人あたり351人 (95%信頼区間342–360)だった。また、16の合併症について分析を行い、気管支拡張症患者における合併症の割合が高いことが示された。
■本研究により、気管支拡張症は希少疾患ではなく、一般的な慢性呼吸器疾患であることが確認された。アジアの推定値は、欧米より高かった。結核の高い有病率 (特に中国、韓国、インドなど) では検査閾値が下がること、遺伝的素因の可能性、環境や気候の影響などいくつか理由が考えられるが明確なリスク因子は不明である。
by otowelt
| 2024-10-18 00:24
| 呼吸器その他