COPD合併糖尿病に対するGLP-1受容体作動薬


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他院継続処方以外では、自ら処方開始することはないですが、適正使用を心がけましょう。




  • 概要
■臨床研究により、GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)は心肺機能に有益な効果をもたらす可能性があることが示されている。われわれは、2型糖尿病+COPD患者を対象に、GLP-1 RA使用と非使用の転帰および死亡率のリスクを比較するために、縦断的コホート研究を実施した。

■2008年1月1日から2019年12月31日までの台湾の国民健康保険研究データベースから、8060人のマッチペアのGLP-1 RA使用者・非使用者を組み入れた。Cox比例ハザードモデルを使用して、GLP-1 RA使用者と非使用者の間の心肺アウトカムのリスクを判定した。

■GLP-1 RA使用者と非使用者の平均追跡期間は、それぞれ2.51年と2.46年だった。マッチコホートでは、GLP-1 RA使用者は、GLP-1 RA非使用者と比較して、死亡(調整ハザード比0.46、95%信頼区間0.38〜0.56)、心血管イベント(調整ハザード比0.73、95%信頼区間0.65〜0.82)、非侵襲的陽圧換気(調整ハザード比0.66、95%信頼区間0.47〜0.93)、侵襲的機械的人工呼吸(調整ハザード比0.64、95%信頼区間0.51〜0.8)、細菌性肺炎(調整ハザード比0.76、95%信頼区間0.65〜0.88)のリスクが有意に低かった。さまざまなサブグループと投薬期間の分析においても、GLP-1 RA は、非GLP-1 RA よりも死亡率、心血管イベント、人工呼吸器補助、細菌性肺炎のリスクが有意に低いことが示された。

■2型糖尿病+COPD 患者において、GLP-1 RA は非 GLP-1 RA よりも心肺アウトカムと全死亡率のリスクが低いことが示された。GLP-1 RA は、COPD患者における糖尿病マネジメントに役立つ可能性がある。





by otowelt | 2024-10-27 00:06 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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