SPIROMICSコホート:血清IgGとCOPD増悪の関連
2024年 11月 05日
ご存じSPIOMICSコホートから。想定よりも高いカットオフ値となりました。
■COPDの罹患率と血清IgG欠乏との関連性は既知であるものの、正常下限値付近の濃度におけるリスクについては明らかでない。
■COPDを有する、もしくはCOPDリスクを有する現喫煙者および既喫煙者において、従来の血清IgG欠乏のカットオフ値を上回る場合とCOPD増悪との関連性を検討した。
■SPIROMICSコホートより、COPD患者1,026例およびCOPDリスク保有者471例を含む計1,497例の現喫煙者および既喫煙者を対象とした。対象者の一部(n=1,031)においてIgGサブクラスを測定した。IgG総量およびサブクラスと将来の増悪との関連性について、人口統計学的因子、現在の喫煙状況、喫煙歴、予測FEV1%、吸入ステロイド使用、血清IgAを調整因子とした多変量解析にて検討を行った。
■赤池情報量基準(AIC)による最適カットオフ値は、IgGの35パーセンタイル値(本コホートでは1,225 mg/dL)であった。この値未満では増悪リスクの上昇がみられた(罹患率比1.28、95%信頼区間1.08-1.51)。サブクラス解析では、IgG1およびIgG2が35パーセンタイル値(各々354 mg/dL、105 mg/dL)未満の場合、重症増悪リスクの上昇と有意な関連を示した(IgG1:罹患率比1.39、95%信頼区間1.06-1.84、IgG2: 罹患率比1.50、95%信頼区間1.14-1.97)。これらの関連性は増悪歴で追加調整後も有意であった。
■COPD患者およびCOPDリスク保有者において、低血清IgG値はCOPD増悪に有意な関連がみられた。特にIgG1およびIgG2の低値は重症増悪と関連があった。最適IgGカットオフ値は従来の欠乏症カットオフ値を大きく上回るため、軽度の障害が増悪に関与している可能性が示唆される。
by otowelt
| 2024-11-05 00:41
| 気管支喘息・COPD