SPIROMICSコホート:血清IgGとCOPD増悪の関連


SPIROMICSコホート:血清IgGとCOPD増悪の関連_e0156318_14033102.png
ご存じSPIOMICSコホートから。想定よりも高いカットオフ値となりました。





■COPDの罹患率と血清IgG欠乏との関連性は既知であるものの、正常下限値付近の濃度におけるリスクについては明らかでない。

■COPDを有する、もしくはCOPDリスクを有する現喫煙者および既喫煙者において、従来の血清IgG欠乏のカットオフ値を上回る場合とCOPD増悪との関連性を検討した。

■SPIROMICSコホートより、COPD患者1,026例およびCOPDリスク保有者471例を含む計1,497例の現喫煙者および既喫煙者を対象とした。対象者の一部(n=1,031)においてIgGサブクラスを測定した。IgG総量およびサブクラスと将来の増悪との関連性について、人口統計学的因子、現在の喫煙状況、喫煙歴、予測FEV1%、吸入ステロイド使用、血清IgAを調整因子とした多変量解析にて検討を行った。

■赤池情報量基準(AIC)による最適カットオフ値は、IgGの35パーセンタイル値(本コホートでは1,225 mg/dL)であった。この値未満では増悪リスクの上昇がみられた(罹患率比1.28、95%信頼区間1.08-1.51)。サブクラス解析では、IgG1およびIgG2が35パーセンタイル値(各々354 mg/dL、105 mg/dL)未満の場合、重症増悪リスクの上昇と有意な関連を示した(IgG1:罹患率比1.39、95%信頼区間1.06-1.84、IgG2: 罹患率比1.50、95%信頼区間1.14-1.97)。これらの関連性は増悪歴で追加調整後も有意であった。

■COPD患者およびCOPDリスク保有者において、低血清IgG値はCOPD増悪に有意な関連がみられた。特にIgG1およびIgG2の低値は重症増悪と関連があった。最適IgGカットオフ値は従来の欠乏症カットオフ値を大きく上回るため、軽度の障害が増悪に関与している可能性が示唆される。





by otowelt | 2024-11-05 00:41 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31