SPIROMICSコホート:気腫の有無によるCOPDの差
2024年 11月 19日
COPDの基準を満たしていても、気腫が優位な症例とそうでない症例があります。
余談:生成AIを使ってサムネイル画像を作っているのですが、パワポなどで簡単には作成できない質をコンスタントに作れるように頑張っています。立体的な文字を手におさめるのが難しい。
Yang H, et al. Clinical and Prognostic Differences in Mild to Moderate COPD With and Without Emphysema. Chest. 2024 Oct 23:S0012-3692(24)05397-2.
- 概要
■COPDは気道と肺実質の異常を特徴とする不均一な疾患であり、特に軽症から中等症の段階における気腫の有無による臨床的特徴や予後の違いについては、十分な検討がなされていない。
■SPIROMICS研究に登録された989名の軽症・中等症COPD患者を対象とし、CT画像における気腫の程度(%LAA-950)に基づいて、5%未満を非気腫群(NEC群、561名)、5%以上を気腫群(EC群、428名)に分類し、3年間の前向き観察を行った。
■ベースラインの患者特性において、気腫群では男性が多く、前喫煙者の割合が高いことが特徴的でした。また、睡眠時無呼吸の合併は非気腫群で多く認められ、気管支拡張薬や吸入ステロイドの使用は気腫群で多い傾向が見られた。3年間の観察期間における肺機能の低下について、気腫群のFEV1年間低下率は-56.1mL/年、非気腫群では-46.9mL/年だったが、両群間に統計学的な有意差はなかった。一方、CT指標の経時的変化では、非気腫群において気腫の進行が有意に大きいことが示された。気道壁肥厚は気腫群でやや増加傾向を示したが、有意差はなかった。症状やQOLの評価においては、気腫群で有意な悪化があった。特にSGRQ総スコアは気腫群で年間0.7ポイントの増加を示したのに対し、非気腫群では安定していた。また、呼吸困難度を示すmMRCスコアも気腫群で有意な悪化を示した。
■急性増悪の頻度は、気腫群が0.36回/人・年、非気腫群が0.25回/人・年と、気腫群で有意に高い発症率を示した(リスク比1.42)。これらの結果は、気腫の存在が症状の進行や増悪リスクの増加と関連することを示唆している。
■本研究の結果から、軽症・中等症COPDにおいて、気腫の存在は必ずしも肺機能低下の加速とは関連しないものの、QOLの低下や増悪リスクの増加と密接に関連することが明らかとなった。また、非気腫性COPDでは経過中に気腫が進行する可能性が高いことも示唆された。
by otowelt
| 2024-11-19 00:52
| 気管支喘息・COPD