BOREAS試験:気腫の有無による検討
2024年 11月 11日
NEJMと同じく、筆頭著者はBhatt先生です(N Engl J Med. 2023 Jul 20;389(3):205-214.)。「タイプ2炎症があるCOPD」の中でも、気腫性と非気腫性に分けて解析するのがトレンドです。サノフィのデュピクセントは、現在COPDに対して追加承認申請中です。
- 概要
■IL-4/13抗体であるデュピルマブは、第3相BOREAS試験において、COPDおよびタイプ2炎症の患者における増悪を減らし、肺機能を改善した(N Engl J Med. 2023 Jul 20;389(3):205-214.)。このBOREAS の患者の臨床アウトカムについて、気腫の状態ごとに評価した。
■最大限の吸入療法を受けている COPD および タイプ2炎症 (スクリーニング時の血中好酸球数≧300/μL 以上) の患者を、52 週間にわたり 2 週間ごとにデュピルマブ 300 mg またはプラセボを追加する群にランダムに割り付けた。治験責任医師が報告した気腫のある患者とない患者を対象に、52週間にわたる中等度/重度の COPD年間増悪率と、ベースラインから 12 週目までのトラフ1秒量の変化を評価した。
■気腫は、ベースラインで306/939人の患者 (32.6%) に認められた。デュピルマブは、気腫のある患者とない患者で、プラセボと比較して増悪率をそれぞれ 29% (相対リスク0.71 [95%信頼区間0.53-0.95]) と 31% (相対リスク0.69 [95%信頼区間0.53-0.89]) 減少させた。デュピルマブとプラセボのベースラインから12週目までのトラフ1秒量のLSMは、気腫のある患者で0.07 L([95%信頼区間0.002-0.14])、気腫のない患者で0.09 L([95%信頼区間0.04-0.14])だった。治療と気腫の交互作用効果は、年間増悪率(P= 0.8296)またはトラフ1秒量変化(P=0.6438)にはみられなかった。
■デュピルマブの有効性は、治験責任医師が報告した気腫の有無にかかわらず、COPDおよびタイプ2炎症の患者で同様だった。
by otowelt
| 2024-11-11 00:57
| 気管支喘息・COPD