米国レジストリ:気管支拡張症の増悪リスクが高い集団
2024年 12月 01日
予想された結果ですが、細かい解析がなされており、貴重なデータとなるでしょう。
- 概要
■本研究は、アメリカの気管支拡張症およびNTM症のレジストリ(BRR)に登録された患者データを用いて、気管支拡張症の増悪頻度と患者の臨床特性との関連を調査した横断研究である。
■本研究では、2008年9月から2020年3月までの期間にBRRに登録された18歳以上の気管支拡張症患者2,950名を対象とした。登録前2年間の増悪頻度に基づいて患者を層別化し、人口統計学的特徴、呼吸器症状、医療リソース利用、微生物学的所見、修正BSI(mBSI)、特定の併存疾患について解析を行った。
■対象患者の平均年齢は65.6歳で、79.1%が女性だった。登録前2年間の増悪回数の内訳は、0回が41.2%(1,214名)、1回が23.4%(691名)、2回が14.8%(438名)、3回以上が20.6%(607名)であった。
■増悪回数が多い患者群では、特徴的な臨床所見が観察された。呼吸器症状について詳細に見ると、安定期における疲労感の頻度は0回群の38.2%に対して3回以上群では52.4%と高く、安定期における慢性的な咳嗽も0回群の66.1%から3回以上群では81.4%へと増加していた。また、安定期または増悪期における喀血は0回群の13.7%から3回以上群では28.0%へ、喘鳴は0回群の17.6%から3回以上群では43.8%へと顕著な増加を示した。中等度から重度の気道閉塞(FEV1予測値<50%)を示す患者の割合についても、0回群の8.9%に対して、1回群で15.9%、2回群で17.8%、3回以上群で24.6%と、増悪回数の増加に伴って段階的な上昇が認められた。
■また、修正BSIで評価された重症度について見ると、重症(mBSI ≥9)の割合は0回群の13.2%に対して1回群で27.8%、2回群で24.2%、3回以上群で51.1%と著明に増加していた。また、呼吸器関連入院の頻度についても、0回群では4.1%であったのに対し、1回群で24.5%、2回群で33.0%、3回以上群で36.5%と、増悪回数の増加に伴って段階的な上昇を示していた。平均入院回数でみると、0回群の0.06回に対して3回以上群では0.69回と、10倍以上の差が認められた。緑膿菌感染についても3回以上群で35.2%、0回群で11.9%と明確な差が示された。
■多変量解析からは、増悪回数の増加と関連する複数の因子が特定された。具体的には、咳嗽(IRR 1.28, 95% CI 1.13-1.46)、喀血(IRR 1.27, 95% CI 1.12-1.45)、入院歴(IRR 1.75, 95% CI 1.55-1.99)、緑膿菌感染(IRR 1.30, 95% CI 1.15-1.48)、喘息(IRR 1.43, 95% CI 1.27-1.60)、胃食道逆流症(GERD)(IRR 1.27, 95% CI 1.14-1.41)が増悪頻度の上昇と有意な正の相関を示した。一方、FEV1予測値は10%の増加ごとに3%の減少(IRR 0.97, 95% CI 0.95-0.99)、年齢は10歳の増加ごとに6%の減少(IRR 0.94, 95% CI 0.91-0.98)と、増悪頻度と負の相関を示すことが明らかとなった。 併存疾患に関する分析では、1回増悪群は0回群と比較して各疾患の発生率が高く、具体的にはCOPDが16.3%から19.2%へ、喘息が17.5%から26.0%へ、COPD・喘息合併が3.6%から6.3%へ、GERDが36.8%から44.6%へと増加していた。さらに特筆すべきは、中耳炎および鼻副鼻腔炎の頻度が0回群の7.4%から3回以上群では19.8%へと約2.7倍に増加していたことである。
■気管支拡張症患者における頻回な増悪が、呼吸器症状の増加、疾患重症度の上昇、呼吸器関連入院の増加、緑膿菌感染、中等度から重度の気道閉塞と関連する高い疾患負荷を示すことが明らかとなった。
by otowelt
| 2024-12-01 00:27
| 呼吸器その他










