MIMIC-IV:ARDSに対するアセトアミノフェンは死亡率低下と関連
2024年 12月 04日
ARDS症例でアセトアミノフェンを使うとすれば、発熱がある場合でしょう。敢えてここでNSAIDsということは、今の臨床ではないでしょう。
- 概要
■本研究は、ARDS患者におけるアセトアミノフェン使用と院内死亡率との関連を調査した後ろ向きコホート研究である。
■ARDS治療では、1回換気量をおさえたLTVV、腹臥位療法、筋弛緩薬などの補助治療が考慮されるが、院内死亡率は依然として34.9~46.1%と高い状態である。アセトアミノフェンは、重症肺炎患者由来の肺上皮細胞におけるNETs形成を抑制する効果がin vitroで示されており、遊離ヘモグロビンによる酸化的損傷を軽減することで保護効果を発揮する可能性もある。本研究では、Medical Information Mart for Intensive Care IV (MIMIC-IV)データベースから3,227人のARDS患者のデータを収集し分析を行った。
■ARDS患者3,227人のうち、2,438人がアセトアミノフェン使用群、789人が非使用群であった。追跡期間の中央値は10.54日であった。多変量Cox回帰分析の結果、アセトアミノフェン使用は院内死亡リスクの低下と有意に関連していることが示された(ハザード比0.67, 95%信頼区間0.57-0.78)。この関連は傾向スコアマッチング後も一貫して認められた(ハザード比0.70, 95%信頼区間0.58-0.84)。 さらに、年齢(<65歳および≥65歳)、性別、ARDSの重症度(軽症、中等症、重症)による層別解析を実施したところ、ほぼすべてのサブグループでアセトアミノフェン使用と院内死亡リスク低下との関連が確認された。中等症以上のARDSで関連が強かった。
■本研究はARDS患者におけるアセトアミノフェン使用が院内死亡率の低下と関連していることを示した。
■limitation:
・単施設の後ろ向き研究であるため選択バイアスが存在する。
・アセトアミノフェンが適用された医学的事由に関する情報が不足している。
・ARDSの原因が不均一である可能性がある。
・ICU入室時にARDSと診断された患者のみを対象としており、入院後まもなくARDSを発症した患者は除外されている。
by otowelt
| 2024-12-04 00:11
| 集中治療