ABRA研究:喘息・COPDの好酸球性増悪に対するベンラリズマブ
2024年 12月 24日
- 概要
■対象は18歳以上の成人で、COPDの場合は10pack-year以上の喫煙歴と気管支拡張薬投与後のFEV1/FVCが0.7未満、喘息の場合は10pack-year未満の喫煙歴と気道可逆性が必要とされた。増悪時に血中好酸球数が300/μL以上であることがランダム化の条件とされた。
■患者は1:1:1の割合で3群に無作為に割り付けられた。PRED群はプレドニゾロン30mg/日を5日間内服とプラセボの皮下注射、BENRA群はプラセボ錠とベンラリズマブ100mg単回皮下注射、BENRA plus PRED群は両者の実薬を投与された。ランダム化は、診断名(喘息またはCOPD)、安定期のFEV1(50%以上か未満か)、喫煙状況、前年の増悪回数(2回未満か以上か)で層別化された。TioFarma BV社がプレドニゾロンとそのプラセボ錠を、アストラゼネカ社がベンラリズマブとそのプラセボ注射を製造し、色、形状、味などを一致させることで盲検性を確保した。全ての患者は投与後2時間以上モニタリングされ、ランダム化時には抗菌薬は投与されなかった。
■追跡期間は90日間で、無作為化後7日、14日、28日、90日目に評価が行われた。各評価時には気管支拡張薬投与後の肺機能検査、FeNO測定、患者報告アウトカム質問票への記入が実施された。喘息患者はACQ7・ACT・AQLQ、COPD患者はCATを用いた評価が行われた。全患者でmMRCスケール、EuroQoL 5D-3L、咳嗽、喘鳴、呼吸困難、喀痰量、喀痰性状に関するVASによる評価が実施された。
■PRED群での治療失敗は74%に対し、ベンラリズマブを投与した2群を統合した群(pooled-BENRA)では45%と有意に低下した(オッズ比0.26、95%信頼区間0.13-0.56、p=0.0005)。28日目のVASスコアもpooled-BENRA群で有意に改善した(平均差49mm、95%信頼区間14-84、p=0.0065)。副次評価項目では、pooled-BENRA群はPRED群と比較して、mMRC、ACQ7、AQLQで臨床的に意味のある改善を示した。有害事象は324件報告され、高血糖および副鼻腔炎/副鼻腔感染症はプレドニゾロン投与群でのみ発生した。死亡例はなかった。
■喘息あるいはCOPDの好酸球性増悪に対する単回のベンラリズマブ投与は、プレドニゾロン単独と比較して、治療失敗リスクを74%低減し、NNTは4であった。