日本国内における気管支肺胞洗浄(BAL)の手技

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島根大学の礒部威教授が筆頭著者です。「国内ではどのようにBALを実施しているか」についてのまとまったデータは非常に貴重です。





  • 概要
■BALの方法は国内外で標準化されておらず、生理食塩水の注入量やBAL検体の分析方法が施設によって異なる。この研究は、日本における気管支肺胞洗浄(BAL)の実施状況を明らかにすることを目的とした全国規模の質問票調査の結果をまとめたものである。

■2019年5月から7月にかけて、日本呼吸器学会認定施設915施設を対象に調査を実施し、442施設(48.3%)から回答を得た。

■調査の結果、BALの実施頻度については、気管支鏡検査全体に占める割合が30%未満という施設が364施設(86.5%)と大多数を占めていた。年間実施件数は1-10件が23.2%、11-50件が49.6%、51-100件が15.6%、101-200件が7.0%、201件以上が4.5%であった。

■間質性肺炎の急性増悪に対するBALの実施状況は、原則実施が8.2%、原則非実施が56.9%、人工呼吸管理に同意した場合のみ実施が18.6%、肺胞出血、薬剤性肺炎、感染症が疑われる場合に実施が16.3%であった。

■BALの具体的な手技に関して、びまん性肺疾患における洗浄部位については、280施設(65.6%)が中葉・舌区に病変がない場合のみ他の部位で実施すると回答し、100施設(23.4%)が病変の強い部位で実施すると回答した。

■生理食塩水の注入量と回数は、50mL×3回が90.7%、50mL×2回が4.3%、50mL×4回が2.6%、その他が2.4%であった。生理食塩水50mL×3回注入の場合、3回の洗浄液をまとめて分析が72.0%、3回別々に分析が8.0%、2回目と3回目をまとめて分析が16.8%であった。50mL×2回注入の場合、2回分まとめて分析が83.3%、2回別々に分析が11.1%、2回目のみ分析が5.6%であった。50mL×4回注入の場合、4回分まとめて分析が18.2%、2回目と3回目をまとめて分析が27.3%、その他が54.5%であった。

■検体処理については、329施設(76.9%)が自施設の技師が担当しており、72施設(16.8%)が外部委託していた。検体処理方法は、サイトスピン法が186施設(44.3%)、遠心後塗抹法が188施設(44.8%)とほぼ同数であった。細胞分画の測定は、自施設の検査技師が実施する施設が293施設(67.8%)と最も多く、外部委託が90施設(20.8%)だった。

■BAL実施時の安全性に関して、麻酔方法はミダゾラムなどのベンゾジアゼピン系薬剤を使用する施設が320施設(72.2%)と最も多かった。

■日本国内のBAL実施状況の実態が明らかとなった。本調査では、多くの施設が回収したBALFをまとめて分析していたが、一部の施設では別々に分析したり、最初の洗浄液を除去したりしていた。また、間質性肺炎の急性増悪時のBAL実施については、施設によって方針が異なることも明らかとなった。これらの結果は、今後BALの手技や検体処理方法の標準化を進める上で重要な基礎データとなる。今後、日本で一般的な50mL×3回という方法の有効性について、臨床研究による検証が必要であると考えられる。






by otowelt | 2024-12-23 00:38 | 気管支鏡

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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