RENOVATE研究:急性呼吸不全に対するHFNC vs NIV
2024年 12月 19日
今呼吸器内科で話題のRENOVATE研究です。ネーザルハイフローの使用頻度は増えましたが、II型呼吸不全以外ではNIVを適用することがかなり減りました。NIVが非侵襲だとすると、ネーザルハイフローは超非侵襲という位置づけですね。
流量が30~60L、そしてFiO2が30~100%と2パラメータあるので、看護師さんが理解しやすい約束指示にする必要があります。個人的には前者は患者さんが感じる快適性も重要なので、基本的に固定だが快適性に合わせてアップダウン可という形にしています。SpO2でアップダウンするのは基本的にFiO2だけのほうが分かりやすいかもしれません。
- 概要
■この研究は、様々な原因による急性呼吸不全患者における高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNO)と非侵襲的人工呼吸(NIV)の有効性を比較した大規模な多施設前向きランダム化非劣性試験である。
■2019年11月から2023年11月にかけて、ブラジルの33の病院で実施され、1800名の患者がランダム化された。対象患者は、低酸素血症を伴う非免疫不全群、低酸素血症を伴う免疫不全群、呼吸性アシドーシスを伴うCOPD増悪群、急性心原性肺水腫(ACPE)群、および2023年6月26日に別群として追加された低酸素性COVID-19群の5群に分類された。
■主要評価項目は、患者群間でのダイナミックボローイングを用いたベイズ階層モデルによって評価された7日以内の気管挿管または死亡であった。非劣性は、オッズ比が1.55未満である確率が99.2%以上(事後確率≧0.992)と定義された。
■主要評価項目である7日以内の気管挿管または死亡は、HFNO群で39%(344/883)、NIV群で38%(336/883)で発生した。各群別の結果として、免疫不全群ではHFNO群57.1%(16/28)、NIV群36.4%(8/22)で無益性により中止となった。非免疫不全群ではHFNO群32.5%(81/249)、NIV群33.1%(78/236)、ACPE群ではHFNO群10.3%(14/136)、NIV群21.3%(29/136)、COVID-19群ではHFNO群51.3%(223/435)、NIV群47.0%(210/447)、COPD群ではHFNO群28.6%(10/35)、NIV群26.2%(11/42)であった。重篤な有害事象の発生率は両群で同程度であり、HFNO群9.4%、NIV群9.9%であった。ただし、5つの急性呼吸不全患者群間でのダイナミックボローイングを行わない事後解析では、COPD患者、免疫不全患者、ACPE患者において質的に異なる結果が示された。
■本研究の強みとして、大規模な多施設試験であること、様々な病因の急性呼吸不全を分析した実用的な試験であること、詳細なプロトコルが整備されていることが挙げられる。一方、限界点として、患者と臨床医の盲検化が実施されていないこと、一部の患者群でのサンプルサイズが小さいこと、解析モデルの選択により結果が影響を受ける可能性があることなどが挙げられる。
■HFNOは5つの急性呼吸不全患者群のうち4群において、7日以内の気管挿管または死亡の予防においてNIVに非劣性であることが示された。しかし、COPD患者、免疫不全患者、ACPE患者に関しては、サンプルサイズが小さいことと解析モデルの選択による結果の感受性から、さらなる研究が必要とされる。これらの知見は、HFNOが特にNIVへの協力が困難な患者や、患者の経過が確立される段階での有望な第一選択肢となる可能性を示唆している。
by otowelt
| 2024-12-19 03:17
| 集中治療