気管支鏡の鎮静におけるレミマゾラム(アネレム)
2025年 01月 17日
アネレムの添付文書 ・効能又は効果 全身麻酔の導入及び維持 ・用法及び用量 〈導入〉 通常、成人には、レミマゾラムとして12 mg/kg/時の速度で、患者の全身状態を観察しながら、意識消失が得られるまで静脈内へ持続注入する。なお、患者の年齢、状態に応じて投与速度を適宜減速すること。 〈維持〉 通常、成人には、レミマゾラムとして1 mg/kg/時の速度で静脈内への持続注入を開始し、適切な麻酔深度が維持できるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を適宜調節するが、上限は2 mg/kg/時とする。なお、患者の年齢、状態に応じて投与開始速度を適宜減速すること。 覚醒徴候が認められた場合は、最大0.2 mg/kgを静脈内投与してもよい。 |
- 概要
■本研究では、定期的な気管支鏡検査を受ける高齢患者100名を対象とし、レミマゾラム群50例とプロポフォール群50例に分けて比較検討を行った。主要評価項目は術後1日目、2日目、3日目、5日目、7日目のせん妄発生率とし、副次評価項目として低血圧、低酸素血症、体動、覚醒時の興奮、めまい、悪心・嘔吐などの有害事象の発生を調査した。
■65歳から80歳までのASA physical status IIまたはIII、BMIが18.5から23.9 kg/m2の患者とし、認知症や統合失調症、てんかん、パーキンソン病などの既往がある患者、重度の高血圧、糖尿病、臓器不全、重度のCOPDを有する患者は除外された。心電図、パルスオキシメトリー、BIS、非侵襲的血圧モニタリングを実施し、静脈路を確保した上で、マスクによる3 L/分の酸素投与を開始した。レミマゾラム群では0.15 mg/kgの投与を行い、必要に応じて1分後に2.5 mgを追加投与した。プロポフォール群では1-2 mg/kgを1分以内に投与した。
■レミマゾラム群ではせん妄の発生が認められず、プロポフォール群では術後1日目に1例の発生が確認された。有害事象の総発生率はレミマゾラム群で20%、プロポフォール群で50%であり、統計学的に有意な差がみられた。また、低血圧、低酸素血症、めまいなどの個別の有害事象についても、レミマゾラム群で発生率が低い傾向が示された。
■レミマゾラムは高齢者の気管支鏡検査において、有効な鎮静効果を示すとともに、有害事象や術後せん妄などの合併症が少ない安全な薬剤であることが示唆された。特に、従来のプロポフォールと比較して、有害事象の発生率が有意に低いことは、臨床的に重要な知見である。