ネーザルハイフローの流量:40L/分 vs 60L/分

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非常に実臨床的な臨床試験です。呼吸器内科医必読論文です。

以前の記事でも以下のように書きました。

「流量が30~60L、そしてFiO2が30~100%と2パラメータあるので、看護師さんが理解しやすい約束指示にする必要があります。個人的には前者は患者さんが感じる快適性も重要なので、基本的に固定だが快適性に合わせてアップダウン可という形にしています。SpO2でアップダウンするのは基本的にFiO2だけのほうが分かりやすいかもしれません。」

なので、この研究を踏まえると基本的にまずは40L/分で開始してよさそうにも思います。




■高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC) は、抜管後の酸素療法に対する有望な介入として登場し、再挿管の必要性を減らす可能性がある。しかし、高流量設定を使用すると、一般的に使用されている 30~50 L/分の流量よりも良い結果が得られるかどうかは不明である。

■抜管後のケアで HFNC の流量を 60 L/分に設定する場合と 40 L/分に設定する場合では、抜管の結果に違いが出るかどうかを調べた。ランダム化比較試験において、抜管患者に、抜管後に 60 L/分または 40 L/分の流量で HFNC を受けるよう割り当てた。割り当てられた流量は 24 時間維持された。

■主要評価項目は、抜管後 48 時間以内に再挿管するか、非侵襲的換気 (NIV) を使用するかの複合エンドポイントとした。主な副次的アウトカムには、HFNC 設定の予定より早い変更と死亡率が含まれていた。

■180人の患者がランダム化され、そのうち 169 人 (40 L/分グループ 86 人、60 L/分グループ 83 人) が解析に含まれた。主要アウトカムイベントは、40 L/分グループで 19 人 (22.1%)、60 L/分グループで 14 人 (16.9%) に発生した (リスク差 5.2% [95% CI、-6.7% ~ 17.1%]、P = 0.39)。副次的アウトカムでは、40 L/分グループでは、NIV の使用または HFNC 設定の増量として定義される呼吸サポートのエスカレーションのリスクが高かった (24 [27.9%] vs 8 [9.6%]、P = 0.002)。

■ランダムに抽出された抜管患者では、HFNC 流量を 60 L/分に設定しても、流量 40 L/分の場合と比較して、再挿管または NIV 使用のリスクは低下しなかった。必要に応じて流量を上げていく方法で40 L/分から開始する方法は、抜管後のケアにおいて60 L/分に固定する方法の妥当な代替案となり得る。ただし、この試験では群間の小さな差を検出するための検出力が十分でなかった可能性がある。





by otowelt | 2025-01-07 07:04 | 集中治療

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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