非重症インフルエンザに対する最良の抗ウイルス薬はゾフルーザか
2025年 01月 16日
非重症にはインフルエンザ治療薬はいらないと思いますが、これは抗ウイルス薬処方が当たり前だという土壌を作り上げた国の責任も大きかろうと思います。
このネットワークメタアナリシスによれば、軽症例においてはゾフルーザが最適ということになります。しかし、反論は多そうな気がします。レターがたくさん来るのかな・・・。静観。
・参考記事:入院を要するインフルエンザにゾフルーザは有効か(岩田健太郎先生)
■非重症インフルエンザに対する最適な抗ウイルス薬の選択が明確になっていない状況がある。
■MEDLINE、Embase、CENTRAL等の主要データベースを2023年9月20日まで検索し、非重症インフルエンザ患者を対象とした無作為化臨床試験を対象とした。プラセボ、標準治療、または他の抗ウイルス薬との比較試験を含め、2名のレビュアーが独立してデータ抽出とバイアスリスク評価を実施した。その後、ネットワークメタアナリシスを行い、GRADEアプローチで確実性を評価した。
■死亡率については、全ての抗ウイルス薬において、低リスク患者・高リスク患者ともに効果は限定的であった。入院リスクに関して、低リスク患者では全薬剤で効果は限定的であったが、高リスク患者ではバロキサビルで入院リスク低下の可能性(リスク差-1.6%、95%信頼区間-2.0%から0.4%、エビデンスの確実性:低)が示された一方、オセルタミビルは効果が限定的(リスク差-0.4%、95%信頼区間-1.0%から0.4%、エビデンスの確実性:高)であった。症状改善までの期間については、バロキサビルで1.02日の短縮(95%信頼区間-1.41から-0.63日、エビデンスの確実性:中)、ウミフェノビルで1.10日の短縮(95%信頼区間-1.57から-0.63日、エビデンスの確実性:低)が認められ、オセルタミビルは0.75日の短縮(95%信頼区間-0.93から-0.57日、エビデンスの確実性:中)にとどまり、臨床的に重要な効果はみられなかった。有害事象に関して、バロキサビルでは有害事象が少数(リスク差-3.2%、95%信頼区間-5.2%から-0.6%、エビデンスの確実性:高)であったのに対し、オセルタミビルでは有害事象を増加させる可能性が示された(リスク差2.8%、95%信頼区間1.2%から4.8%、エビデンスの確実性:中)。
■本研究により、バロキサビルは高リスク患者の入院リスクを低下させ、症状改善期間を短縮する可能性があることが示された。さらに、治療関連の有害事象増加はなかった。他方、その他の抗ウイルス薬は、患者にとって重要なアウトカムに対して効果が限定的か不確実であることが明らかとなった。
by otowelt
| 2025-01-16 11:24
| 感染症全般