抗MDA-5抗体陽性皮膚筋炎ILDに対するトファシチニブ vs カルシニューリン阻害薬
2025年 02月 05日
抗MDA5抗体陽性のDM-ILDに対するトファシチニブとCNIの比較です。前者のほうがよいかも・・・という結論になっています。
- 概要
■抗MDA-5抗体陽性ILDに対する初期免疫抑制療法として、トファシチニブ (TOF) とカルシニューリン阻害薬 (CNI:タクロリムスまたはシクロスポリン) の有効性と安全性を比較した。
■2014 年 4 月から 2023 年 1 月の間に 5 つの三次紹介センターから新たに診断された抗MDA5抗体陽性+DM-ILD (ILD 経過 < 3 か月) の成人中国人患者を、この後ろ向きコホート研究の対象とした。主要有効性エンドポイントは、1 年以内の無移植生存率であった。この実世界研究では、傾向スコアに基づくIPTW)を調整のために適用した。
■適格コホートでは、TOF 群(n=290)と CNI 群(n=225)でそれぞれ 94 例(32.4%)と 105 例(46.7%)が 1 年以内に死亡または肺移植を受けた。IPTW による調整後、患者の 1 年以内の肺移植なしの生存率は、CNI 群と比較して TOF 群で有意に高かった(p=0.013)。IPTW データセットで実行された多変量 Cox 解析では、1 年生存率に対する TOF と CNI のハザード比は 0.72(95% CI、0.56 ~ 0.94、p=0.013)であった。調整後の生存率の差は 9.3%(95%CI 2.8% ~ 15.8%)であった。感度分析でも一貫した結果をもたらした。60 歳未満、RPILD なし、ベースライン P/F ≥300 mmHg の患者は、TOF からより多くの利益を得られる可能性がある。
■治療関連重篤有害事象として、日和見感染症がTOF群42.4%、CNI群45.3%に認められた。CNI群で肺炎が多く、TOF群では帯状疱疹ウイルス感染が多かった。深部静脈血栓症はTOF群4例、CNI群2例、新規悪性腫瘍はTOF群2例、CNI群3例に認められた。
■生存例における1年後の追跡データでは、両群とも肺活量予測値の有意な改善を認めた。TOF群では鼻カニュラ酸素投与を要する症例が少なく(1.5% vs 11.2%)、プレドニゾロン投与量も少なかった(7.5mg vs 10.0mg/日)。また、TOF群では効果不十分や有害事象による初期治療レジメンの変更も少なかった(8.2% vs 15.8%)。
■この大規模な多施設コホート研究では、TOFは、抗MDA5陽性+DM-ILD における 1 年間の無移植生存率に関して、CNIよりも有意に高い利益を示した。
by otowelt
| 2025-02-05 02:52
| びまん性肺疾患