高炭酸ガス血症のリスクが高い患者にどのくらい酸素が過剰投与されているか?
2025年 02月 20日
海外の電子カルテはこういうデータ抽出もクリアしているのが強みですね。日本は個人情報を重要視するあまり、一気にデータを扱うことのできないカルテシステムが多い。
批判的に見ると、SpO2 88~92%と指示しても、看護サイドとしては87%を容認できるはずもなく、93~95%ならまあよしとするでしょうから、当然の結果とも言えます。
- 概要
■酸素療法のガイドラインでは、高炭酸ガス血症のリスクがある患者に対して、目標飽和度範囲 (SpO2範囲) を 88 ~ 92% にすることを推奨している。酸素投与中に飽和度が 88% 未満または飽和度が 92% を超えると、死亡率の上昇につながるとされている。
■4 年間にわたり、1 つの病院で処方された目標範囲が 88 ~ 92% であるすべての患者の SpO2 観察をみた。
■酸素処方を受けた患者の 1,045,958 件の観察のうち、107,724 件 (10.3%) が目標範囲が 88 ~ 92% (高炭酸ガス血症のリスク) でした。これらの観察のうち 26,668 件 (24.8%) は酸素の使用と関係していました。目標 SpO2 範囲が 88~92% の SpO2 観察値の 89.6% は、空気呼吸時の SpO2 ≥ 88% または酸素呼吸時の SpO2 88~92% で満足できるものだった。ただし、これらの患者の SpO2の 1.2% は低すぎた (<88%)。患者が酸素補給療法を受けている間に記録された目標 SpO2 範囲が 88~92% の SpO2のうち、9,870 件(9.2%)で SpO2 >92% (酸素過剰)だった。鼻カニューレと比較すると、シンプルマスク、ベンチュリーマスク、加湿酸素を使用した場合の SpO2は、目標範囲外になる頻度が高かった。
■高炭酸ガス血症のリスクがある入院患者の場合、酸素投与過剰は酸素療法不足よりもはるかに多いことがわかった。酸素の過剰使用は、これらの患者への有害リスクの増加、コストの増加、退院の遅延の可能性を意味する。
by otowelt
| 2025-02-20 00:04
| 気管支喘息・COPD