肺M. kansasii症の予後予測因子
2025年 02月 22日
肺M. kansasii症は、予後良好な肺NTM症の1つで、再発に困る症例というのはあまり多くありません。
- 概要
■肺Mycobacterium kansasii症 (MK-PD) の発生率は世界中で増加している。しかし、患者の治癒率を改善し、治療効果を評価する方法についての研究は限られている。われわれは、MK-PD 患者の治癒率を改善するための重要な要因を同定することを目的とした。
■この後ろ向きコホート研究では、2016 年 1 月から 2020 年 12 月の間に登録された MK-PD 患者の医療記録を収集した。これには、人口統計データのほか、臨床、放射線、微生物学的、薬剤耐性、薬物療法情報、治療結果が含まれた。患者の治療失敗のリスク要因を特定するために、多変量ロジスティック回帰分析を実施した。
■当該研究には 129 人の患者が含まれ、そのうち 100 人 (77.5 %) が治療に成功した。ロジスティック回帰分析により、肺の空洞の吸収不良が治療成功の独立リスク因子であることが確認された (オッズ比: 7.9、95 %信頼区間: 1.7-36.2、p = 0.008)。空洞の吸収があった患者の全体的な治癒率は 93 % で、患者の 55 % が治療開始から 6 か月以内に吸収された (治癒率は 95 %)。MK-PD 患者の空洞吸収率は併存疾患の数と負の相関関係があった (p = 0.009)。つまり、併存疾患が多いほど、吸収不良となり、治癒率が低くなった。
■肺の空洞の吸収は、MK-PD 患者の治癒率における重要なポイントである。
by otowelt
| 2025-02-22 00:53
| 抗酸菌感染症