肺移植後のミコフェノール酸モフェチル vs アザチオプリン
2025年 02月 25日
いろいろな疾患でミコフェノール酸モフェチルが優先的に使われるようになり、呼吸器領域においても処方が増えてきました。
- 概要
■肺移植後のグラフト喪失を防ぐため、3剤による免疫抑制療法が治療の基本となっている。肺移植患者におけるミコフェノール酸モフェチル(MMF)とアザチオプリン(AZA)を含む維持療法の直接比較は限られている。
■2009年1月1日から2022年7月1日までのメイヨークリニック(ミネソタ州ロチェスター)における成人(18歳以上)肺移植レシピエントを対象に後ろ向きコホート研究を実施し、AZA群とMMF群の転帰を比較した。主要評価項目は臨床的に有意な急性細胞性拒絶反応とした。副次評価項目としてグラフト喪失、薬剤中断、慢性肺移植片機能不全(CLAD)、感染症とした。移植時期と導入免疫抑制剤を共変数として多変量Cox回帰分析を実施した。
■224名の患者が含まれ、AZA群88名、MMF群136名であった。臨床的に有意な拒絶反応のリスクは、MMF群と比較してAZA群で高かった(ハザード比1.76;95%信頼区間 1.12-2.79;P = 0.02)。薬剤中断もAZA群で高かった(ハザード比1.47;95%信頼区間1.04-2.08;P = 0.026)。CLAD、グラフト喪失、感染症の発生率は両群で同様であった。
■本コホートにおいて、MMFはAZAと比較して臨床的に有意な急性細胞性拒絶反応および薬剤中断のリスクが低かった。CLAD、グラフト喪失、感染症の発生率は同様であった。
by otowelt
| 2025-02-25 00:05
| 呼吸器その他