PROSA2試験:COPD患者における気管支鏡中の高流量酸素療法(LM Flow 100)
2025年 02月 18日
うっかりネーザルハイフローと書こうとしたのですが、Löwenstein Medical GmbH社のLM Flow 100だったので、「高流量酸素療法」という表記にしました。私の知る限り、最小のHFNCであり、大がかりな装置が不要と理解しています。在宅HFNCの実現が可能なデバイスですね。
- 概要
■COPD患者は喫煙に関連する呼吸器合併症を発症するリスクが高く、軟性気管支鏡検査を受ける機会が多い。しかし、COPD患者は処置に伴う合併症リスクが高く、気管支鏡検査中の酸素飽和度が低下しやすい。
■本研究は、COPD患者における気管支鏡検査時の意識下鎮静中に、従来の経鼻カニュラによる低流量酸素投与と比較して高流量経鼻酸素投与の有効性を評価するために実施された、研究者主導の単施設非盲検ランダム化比較試験である。低流量群では開始流量4 L/分から開始し、酸素飽和度(SpO2)を90%以上に維持するため最大12 L/分まで漸増した。高流量群ではLM Flow 100(Löwenstein Medical GmbH社、Bad Ems、ドイツ)を使用し、開始流量60 L/分、吸入酸素濃度(FiO2)0.6から開始し、SpO2を90%以上に維持するため最大80 L/分まで増加させた。主要評価項目は累積低酸素血症時間とした。
■年齢中央値69.0歳(62.0-76.0歳)のCOPD患者600例を高流量群(295例)または低流量群(305例)にランダム化した。累積低酸素血症時間は高流量群で53%低下した(モニタリング時間の1.8%[95%CI 1.5-2.2]vs 3.8%[95%CI 3.2-4.5]、p<0.001)。また、低酸素血症イベント(SpO2<90%)の発生は高流量群で3.0回(1.0-6.0)、低流量群で6.0回(3.0-10.0)であった(p<0.001)。
■気管支鏡検査中の低酸素血症発生リスクは低流量群で5倍高かった(OR 5.1[95%CI 3.2-8.2]、p<0.001)。
■高流量酸素投与はCOPD患者の気管支鏡検査において実施可能であり、累積低酸素血症時間を短縮し低酸素血症イベントを減少させるが、患者の快適性には影響しない。
by otowelt
| 2025-02-18 00:07
| 気管支鏡