COPDに対するトリプル吸入療法 vs デュアル吸入療法 コスト比較
2025年 04月 02日
- 概要
■この後ろ向き研究では、アメリカの40歳以上のCOPD患者で維持療法を経験していない場合に、単一吸入器でフルチカゾンフランカルボン酸エステル + ウメクリジニウム + ビランテロール (FF+UMEC+VI) またはチオトロピウム + オロダテロール (TIO+OLO) を開始した場合を比較評価した。患者は傾向スコアマッチされ、最大 12 か月間追跡された。主要評価項目は、最初の COPD 増悪までの時間である。副次的評価項目として、肺炎の初回診断までの時間、肺炎関連の入院、医療資源の利用率 (HCRU)、および費用が含まれた。COPD 増悪および肺炎リスクは、Cox 比例ハザード回帰を使用して評価された。
■FF+UMEC+VI群および TIO+OLO群の適格基準を満たした患者は、それぞれ合計 5,121 名および 3,996 名だった。結果は、2,951 組の一致したペアで評価された。中等度または重度の COPD 増悪リスクは、FF+UMEC+VI グループと TIO+OLO グループ間で有意差がなかった (ハザード比1.13、95% 信頼区間 0.99-1.29、P=0.064)。肺炎のリスク(ハザード比1.04、95%信頼区間0.85-1.27、P=0.723)、肺炎関連の入院(ハザード比1.18、95%信頼区間0.78-1.79; P=0.429)も、グループ間で有意差はなかった。HCRUイベントまたは全原因コストに有意差はなかったが、FF+UMEC+VI 開始者は、TIO+OLO 開始者よりも COPD・肺炎関連の薬局での支払いコストが高くなった(FF+UMEC+VI: $2,934 [$2,827-$3,041]、TIO+OLO: $1,994 [$1,915-$2,073]; P<0.001)。
■維持療法歴がないCOPD患者では、FF+UMEC+VI は TIO+OLO と比較して COPD 増悪リスクを低下させることはなく、COPD・肺炎治療に関連する薬局コストが高くなった。初期維持療法として LAMA+LABA を推奨する治療方針が支持される。
by otowelt
| 2025-04-02 00:04
| 気管支喘息・COPD