SOOTHE試験:難治性慢性咳嗽に対するカムリピキサント


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表. P2X3拮抗薬一覧(倉原作成)

カムリピキサントはゲーファピキサントより高い選択性があり、今後上市が期待されている慢性咳嗽治療薬です。




  • 概要
■難治性慢性咳嗽は、他の咳嗽関連病因の治療にもかかわらず持続する慢性咳嗽、または特定された根本原因がない疾患を特徴とする疾患であり、患者に広く利用できる治療法はない。

■第2b相ランダム化プラセボ対照試験である SOOTHE (NCT04678206) では、難治性慢性咳嗽 (咳嗽持続期間 ≥ 1 年、ベースラインの覚醒時咳嗽頻度 ≥ 25 回/時間) の成人を対象に、P2X3拮抗薬カムリピキサントの有効性と安全性を評価した。

■単盲検 16 日間プラセボ導入後、患者は 1:1:1:1 にランダム化され、カムリピキサント 12.5、50、または 200 mg を 1 日 2 回、またはプラセボを 4 週間投与された。主要評価項目は、ベースラインから 28 日目までの客観的な 24 時間咳嗽頻度の変化であった。副次評価項目には、咳の重症度および咳関連QOLが含まれた。

■全体で 310 人の患者がランダム化された。プラセボ調整後の24時間咳嗽頻度の統計的に有意な減少が、50 mg 群(-34.4%、95%信頼区間:-50.5 ~ -13.3、P = 0.0033)および 200 mg 群(-34.2%、95% 信頼区間:-50.7 ~ -12.2、P = 0.0047)でみられた。すべてのカムリピキサント群で、咳嗽重症度VASおよびレスター咳嗽質問票においてプラセボよりも改善する傾向が示された。

■カムリピキサントの忍容性は良好で、治療に関連した重篤な有害事象は報告されなかった。カムリピキサント群の患者の 4.8 ~ 6.5% に味覚変化が認められた(プラセボ群では 0%)。これらは通常、軽度から中等度であった。

■カムリピキサント治療により、難治性慢性咳嗽患者の咳嗽頻度が減少し、患者報告アウトカムが改善され、安全性プロファイルも許容範囲内であった。





by otowelt | 2025-03-08 00:39 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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