PRISmはCOPDのリスク
2025年 03月 24日
- 概要
■OLIN COPD研究の参加者を対象に、1980年代と1990年代に実施された初回検査のデータを、約10年後の再検査時のデータと関連付け分析した。特に、初回検査時のスパイロメトリーパターン(正常肺機能、気道閉塞、PRISm)と、再検査時に気流閉塞を示した症例群(n=902)と対照群(n=819)との関連性を調査した。
■結果として、初回検査時のPRISmは、喫煙状況を調整した後でも、再検査時に気流閉塞を示すリスクが有意に高いことが明らかになった(調整オッズ比3.48)。この関連性は、現在喫煙者(オッズ比2.90)、過去喫煙者(オッズ比3.81)、非喫煙者(オッズ比3.66)のすべてのグループで同様に観察された。
■追加分析では、拘束性換気障害とPRISmを区別し、PRISmのみを示した場合のオッズ比が最も高く(4.87)、PRISmと拘束性換気障害の両方を示した場合がそれに続き(2.92)、一方で拘束性換気障害のみを示した場合はむしろ気流閉塞のリスクが低い(0.48)という興味深い結果が得られた。
■この研究は、PRISmが喫煙状況に関わらず将来的な気流閉塞(COPD)の発症と強く関連していることを示しており、特に非喫煙者においてもPRISmが「前COPD」状態として重要な意味を持つ可能性を示唆している。PRISmが単なる肺機能検査の異常ではなく、特に非喫煙者も含めて将来的なCOPD発症を予測する重要なマーカーとなりうることを示唆しており、COPDの早期発見や予防戦略の開発において重要な意義を持つものと考えられる。