SOTERIA試験:肺動脈性肺高血圧症に対するソタテルセプト中間解析
2025年 03月 29日
ソタテルセプトは、PAHに関与するアクチビンと成長分化因子を捕捉するアクチビン受容体IIA-Fc(ActRIIA-Fc)融合タンパク質で、現在国内で承認申請中です。
- 概要
■肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬ソタテルセプトの長期追跡調査SOTERIA試験の中間結果を報告した研究論文である。
■SOTERIAは、先行研究(PULSAR・STELLARなど)を完了した426名のPAH患者を対象とした非盲検試験で、ソタテルセプトの安全性、忍容性および有効性を評価することを目的としている。
■参加者は、先行研究でプラセボ群だった143名(プラセボ移行群)、ソタテルセプト群だった259名(ソタテルセプト継続群)、盲検試験中の24名の3群に分けられた。全参加者はSOTERIA試験でソタテルセプトを皮下注射で3週間ごとに投与された。
■平均追跡期間は448.6日(範囲:21〜923日)で、追跡は523人年となった。安全性に関する主な結果として、426名中387名(90.8%)が治療関連有害事象を経験したが、治療中止に至ったのは15名(3.5%)のみであった。重篤な有害事象は129名(30.3%)で発生し、そのうち治療との関連が疑われたのは11名(2.6%)であった。死亡例は12名(2.8%)報告された。最も頻繁に報告された特定の有害事象は鼻出血(22.1%)と毛細血管拡張症(16.9%)であった。毛細血管拡張症は先行研究期間中に54名(12.7%)で発生し、SOTERIA期間中に新たに72名(16.9%)で発生した。これは重篤なものではなく、治療中止に至った患者は1名のみであった。重篤な出血イベントは22名(5.2%)で発生し、うち2名(0.5%)は死亡したが、治験責任医師の判断では治療との関連はないとされた。
■有効性に関しては、プラセボ移行群では、6分間歩行距離(6MWD)とNT-proBNPレベルが24週時点で有意に改善し、1年時点でもその効果が維持された。WHO機能分類I/IIの割合はベースライン時の51.0%から24週時点で77.1%、1年時点で79.9%に増加した。簡易リスクスコア(低リスク)の割合もベースライン時の18.9%から24週時点で40.4%、1年時点で42.2%に増加した。ソタテルセプト継続群では、先行研究で得られた改善効果が維持されていた。臨床的増悪イベントは20名(4.7%)で発生し、初回イベントまでの中央値は35.6週であった。ベースライン時にプロスタサイクリン療法を受けていた286名のうち、23名(5.4%)が10%以上の投与量減少、19名(4.5%)が投与中止、8名が非経口投与から経口または吸入投与への切り替えが可能となり、プロスタサイクリン療法の負担軽減が示唆された。
■当該中間分析により、PAH成人患者におけるソタテルセプト追加療法の有益なベネフィット・リスクバランスが示された。ソタテルセプトによる長期治療は概ね忍容性が良好で、臨床的有効性も維持されることが確認された。特に注目すべき有害事象として毛細血管拡張症と出血イベントがあるが、これらは適切に管理可能と考えられる。SOTERIAはまだ継続中であり、今後もさらなる追跡報告によりベネフィット・リスク評価が更新される予定である。
by otowelt
| 2025-03-29 00:19
| 呼吸器その他