メタアナリシス:肺結核後遺症としての慢性肺アスペルギルス症の有病率



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PTLDは呼吸器感染症学的に流行りの概念で、論文アクセプトが多くなっている印象です。2024年以降各段に多くなりました。


  • 概要
■ 結核 (TB) は、治療が成功後も長期の合併症が続く、世界的に大きな健康問題である。慢性肺アスペルギルス症 (CPA) は、結核生存者に頻繁に発症し、結核後肺疾患 (PTLD) の一因となる進行性真菌性疾患である。結核患者における CPA の真の負担は、診断の難しさやデータが限られているため、依然として不明である。私たちは、以前または現在結核に罹患している患者における CPA の有病率を推定することを目的とした。

■2025 年 1 月 10 日まで、PubMed、Cochrane Library、Web of Science、Science Direct でシステマティックレビューを実施した。適格なコホート研究と横断的研究では、臨床症状、放射線学的異常、微生物学的根拠に基づき、確定診断を受けた結核患者におけるCPA 有病率が報告されていた。3 人のレビュー担当者が 1,575 件の独自の研究をスクリーニングし、118 件の全文を評価した。22 件の研究 (2,884 人の患者) を対象とした。ランダム効果モデルを使用して、プールされた CPA 有病率を推定するメタアナリシスを実施し、サブグループ分析とメタ回帰分析で CPAの要因を調査した。

■CPA 有病率は、評価のタイミングと症状の状態によって異なっていた。すべての結核患者のうち、CPA 有病率は治療中は 9% (95% CI: 6%ー12%)、治療後は 13% (95% CI: 6%―27%) だった。持続性呼吸器症状のある患者のうち、CPA 有病率は治療中は 20%、治療後は 48% (95% CI: 36%―61%)だった。メタ回帰分析により、症状の状態と CPA 評価のタイミングが CPA 有病率の重要な予測因子であることが判明した。

■結核生存者、特に症状が持続する生存者における CPAは多く、結核プログラムで CPA スクリーニングを定期的に実施する必要があることを強調している。早期発見と的を絞った介入により、呼吸器合併症が軽減され、患者アウトカムが改善される可能性がある。





by otowelt | 2025-04-04 00:33 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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