FRONTIER-4試験:COPDに対するトゾラキマブ


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IL-33はTSLPと同じように、タイプ2炎症の元栓にあたる部分です。より下流のカスケードを特異的に抑えたほうがいいのか、元栓をおさえたほうがいいのかについては、まだ結論が出ていません。

デュピクセントがCOPDに追加承認となり、COPDの世界がアツイですが、医療コスト対効果についてはしっかりとした検証が必要と考えられます。





  • 概要
■インターロイキン-33 は COPD の病態生理に大きな役割を果たしている可能性がある。FRONTIER-4 (NCT04631016) では、慢性気管支炎を患い、2 剤または 3 剤の吸入療法を受けている中等度から重度の COPD 患者を対象に、トゾラキマブ (抗 IL-33 モノクローナル抗体) を調査した。

■FRONTIER-4試験は、フェーズ 2a、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験である。患者は、24 週間にわたり、4 週間ごとにトゾラキマブ 600 mg またはプラセボを皮下投与された。主要評価項目は、ベースラインから 12 週までの気管支拡張薬投与前1秒量の変化でした。副次評価項目には、気管支拡張薬投与後の1秒量、最初の COPD増悪イベントまでの時間、安全性が含まれた。

■コホートには135人の患者が含まれた(トゾラキマブ、n=67、プラセボ、n=68)。ITT集団において、プラセボと比較した場合、12 週目のトラフ1秒量はトゾラキマブから増加を示したが統計学的に有意ではなかった(最小二乗平均 [LSM]:24 mL [80% 信頼区間 (CI):-15,63]、p = 0.216)。気管支拡張薬投与後1秒量については、有意な増加を示した(LSM:67 mL [80% CI:17,116]、p = 0.044)。COPD増悪イベントのリスクについては、有意に低下させなかった(HR: 0.79 [80% CI: 0.57,1.11]、p=0.186)が、2 回以上の増悪歴を持つ患者ではより大きな効果がみられた(ハザード比: 0.61 [80% CI: 0.37,1.00])。トゾラキマブの忍容性は良好であった。

■ITT集団において主要評価項目は達成されなかったものの、増悪リスクの高い COPD 患者のサブグループでは、トゾラキマブはプラセボと比較して肯定的な結果になる可能性がある。





by otowelt | 2025-04-17 00:33 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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