喘息のステップダウン:ICSを減量する?モンテルカストをやめる?
2025年 04月 25日
■ACTスコアの変化については両群間で統計学的有意差は認められなかった。しかしながら、治療失敗率はGroup A(ICS減量群)で有意に低く、3ヶ月時点での治療失敗は0人であったのに対し、Group B(モンテルカスト中止群)では5人(20%)が治療失敗を経験していた。この差は有意であり(p=0.01)、ICSを減量しつつモンテルカストを継続するアプローチの有効性が示唆された。
■肺機能(FEV1、FVC、FEV1/FVC)や咳症状(昼夜別の咳スコア)については、両群とも改善が見られたが、群間差は認められなかった。薬剤アドヒアランスは両群ともに高く、重篤な有害事象は報告されなかった。また、モンテルカストに関連するとされる神経精神系副作用も本試験では観察されなかった。
■本研究の意義は、実臨床においてよく遭遇する「どの薬を減らすべきか」という問いに対して、一定のエビデンスを提供する点にある。現行のGINAガイドラインにおいても、Step 4の治療後におけるICSの減量が推奨されており、本研究の結果はそれを支持するものである。特に、中等症〜重症喘息患者ではICSの副作用(副腎抑制、骨密度低下、成長抑制など)を回避するためにも、できる限り低用量のICSでコントロールを維持することが望ましい。加えて、近年の研究においても、モンテルカストはICSの補助薬として喘息コントロールの向上に寄与することが示されており、ICS単剤よりも良好な肺機能や咳症状の改善が得られることが報告されている。
■本研究の結果は、ICSを減量しつつモンテルカストを継続するという戦略が、特に重症例や頻繁に増悪を繰り返す患者において有用である可能性を示唆する。