XALOC-1:重症好酸球性喘息に対するベンラリズマブの臨床的寛解

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XOLAC-1試験の96週アウトカムの報告です。全体の3分の1が臨床的寛解にいたっています。

■参考記事:XALOC-1:重症好酸球性喘息に対するベンラリズマブ(https://pulmonary.exblog.jp/32610155/





■生物学的製剤を投与されている重症好酸球性喘息(SEA)患者における臨床的寛解に関する長期のリアルワールドデータは不足している。本研究では、ベンラリズマブを投与されているSEA患者において2年間にわたる臨床的寛解が得られたケースを報告する。ベンラリズマブを投与されているSEA患者にとって、長期の臨床的寛解は実現可能な目標かどうか検討した。

■ベンラリズマブを96週間以内投与されたSEA成人患者を対象とした、多国間後ろ向きリアルワールド研究である。臨床的寛解の構成要素および複合基準(増悪なし、維持用経口ステロイド(mOCS)の使用なし、喘息の良好なコントロール(ACT20以上またはACQ-6 0.75以下))を満たした患者の割合を、0週、48週、96週の時点で評価した。主要なベースラインの人口統計学的特性、臨床的特徴、および臨床的寛解状態との関連性は、多変量ロジスティック回帰分析を用いて48週および96週時点で評価した。

■1070名の患者のうち、0週、48週、96週時点でそれぞれ0.4%、39%、31%が3つの構成要素からなる臨床的寛解基準を満たした。生物学的製剤未治療患者と既治療患者では、それぞれ43%と32%(48週目)、36%と23%(96週目)で寛解が認められた。ベースラインにおけるmOCSの低用量(オッズ比[95%信頼区間] 0.51 [0.34, 0.76])、BMIの低値(0.56 [0.36, 0.86])、およびピーク好酸球数の高値(1.68 [1.05, 2.69])は、96週目における臨床寛解の基準達成と正の相関を示した。

■臨床的寛解は現実的な目標であり、ベンラリズマブを投与されたSEA患者の約3分の1において最長2年間持続する。ベースラインの疾患負荷が低い患者では寛解の可能性が高く、生物学的製剤の早期開始が有益であるかどうかについてはさらなる研究が必要である。





by otowelt | 2025-05-04 00:03 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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