他の生物学的製剤からテゼペルマブへスイッチされた症例の検討


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他のバイオからテゼペルマブへスイッチされた症例の検討です。若年例でのレスポンスがよかったとのことです。

それにしてもテゼスペイアのスペルが、Tezspireだったとは知りませんでした。

  • 概要
■本研究では、2022年12月から2023年12月までの間に、少なくとも1つの生物学的製剤を以前に投与され、その後テゼペルマブ(210mg、4週ごと)に切り替えて24週以上治療を受けた重症喘息患者22名を対象とした。

■臨床転帰は、喘息コントロールテスト(ACT)スコアの変化、経口コルチコステロイド(OCS)用量、肺機能、増悪頻度、および生物学的製剤喘息反応スコア(BARS)を用いて評価された。タイプ2炎症バイオマーカーは、末梢血好酸球数≥150/μL、血清総IgE>167 IU/mL、FeNO>25ppbと定義された。

■患者集団の特徴としては、中央値年齢70歳、男性7名、女性15名で、喘息罹患期間中央値30年であった。約64%がT2-highフェノタイプを示し、併存するアレルギー疾患を40.9%が有していた。前治療としては抗IL-5療法(メポリズマブまたはベンラリズマブ)が9名、デュピルマブが13名であった。

■結果として、テゼペルマブ治療開始後、22名中17名(77%)が12週以上増悪を示さず、14名(64%)がACTスコアで3点以上の改善を示し、反応者と分類された。臨床的寛解(ACT≥23、増悪なし、ステロイド不要)は4名(18%)で達成された。ACTスコア、1秒量(FEV1)(中央値+40mL、p=0.0413)、およびOCS用量は有意に改善した。

■抗IL-5製剤からの切り替え患者では、増悪頻度、ACTスコア、FEV1、OCS使用量が改善した。一方、デュピルマブからの切り替え患者では、増悪頻度とACTスコアは改善したが、FEV1やOCS使用量の改善は見られなかった。

■テゼペルマブの有効性予測因子としては、喘息発症年齢の若さ(反応者30歳 vs. 非反応者44.5歳、p=0.027)および少なくとも1つのタイプ2炎症バイオマーカーの存在(p=0.03)が統計的に有意であった。

■安全性については、3名が注射部位反応(発赤1名、疼痛2名)を、1名が軽度の注射後の倦怠感を経験したが、他に重篤な有害事象は報告されなかった。

■テゼペルマブは他の生物学的製剤に反応しなかった重症喘息患者、特に若年発症の喘息患者およびタイプ2炎症バイオマーカーを有する患者に有効である可能性が示された。今後、テゼペルマブと他の生物学的製剤との直接比較、長期的な有効性と安全性の評価、および最適な患者選択戦略の確立のためのさらなる研究が必要である。





by otowelt | 2025-05-26 00:23 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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