結核最終接触からIGRA陽転化まで、どのくらいの期間か

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IGRA陽転は最終接触後25週間という長期間にわたって発生し、14週目以降でむしろ陽転率が高くなっている感じです(当然ながら検査数も減るので率のデータ信頼度は落ちるのですが)。




  • 概要
■結核は世界的に重要な感染症であり、2022年には推定1060万例の患者と130万人の死亡者を記録している。接触者調査とスクリーニングは結核制御において重要な役割を果たし、結核感染を有する接触者を特定して予防治療対象者を選定し、感染拡大を防ぐことを目的としている。QuantiFERON-TB Gold Plus(QFT)検査の陽転は最近の結核感染を示し結核発症リスクの増加を示すため重要である。QFT陽転は初回結核感染後の一定期間内に発生し、この期間はウィンドウ期間と呼ばれる。先行研究では、ウィンドウ期間について約8週間、4-7週間(最大14-22週間)、12週間など様々な報告があるが、大規模な研究は限られていた。

■2018年1月1日から2022年12月31日までの5年間にシンガポール国立結核登録に届出された結核症例の接触者を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。15歳以上で最終曝露日から56日以内に初回QFT陰性であり、最終曝露日から180日以内に2回目のQFT検査を受けた濃厚接触者を研究に含めた。QFT陽転は初回QFT陰性から2回目QFTが陽性に転じることと定義した。シンガポールでは国立結核プログラムが接触者調査を実施し、初回QFT検査は接触者追跡後可能な限り早期に、2回目検査は最終曝露日から8週間以上経過後に実施されている。

■研究期間中、包含基準を満たした接触者は23,236名であった。年齢分布は15-19歳(7.3%)から80歳以上(3.1%)まで幅広く、このうち804名(3.5%)がフォローアップでQFT陽転となった。大多数(90.1%)が最終曝露日から8-12週間以内に2回目QFT検査を受けた。QFT陽転は最終曝露日から6週間から25週間の間に発生し、中央値は10週間(四分位範囲9-11週間)であった。陽転した接触者のうち73%が10週間以内に陽転したが、27%は10週間後に遅発性の陽転だった。QFT陽転となった接触者の19%(6名)が最終曝露日から10週間後に再検査を受けており、これらの症例は早期検査では見逃された可能性がある。

■この研究は結核の中まん延国における最大規模の接触者調査研究である。QFT陽転の中央値は最終曝露日から10週間であったが、27%の接触者で10週間後に遅発性陽転がみられ、最大25週間まで陽転が続いた。これらの知見は、現在推奨されている8週間のウィンドウ期間より長い、少なくとも10週間のウィンドウ期間が遅発性QFT陽転を捉えるために最適である可能性を示している。






by otowelt | 2025-06-21 00:29 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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