悪性胸水のLENTスコア・PROMISEスコアの比較
2025年 06月 26日
おさらいですが、胸水のLENTスコアとPROMISEスコアは以下のようになります。CRPは日本の単位に変換しています。
LENTスコアはイギリス、オーストラリア、オランダの前向きデータベースから開発され、患者を低リスク(中央生存期間319日)、中等度リスク(130日)、高リスク(44日)の3群に分類しています。一方、PROMISEスコアはTIME-1、TIME-2、TIME-3の多施設臨床試験データから開発され、90日死亡率を予測し、4つのリスク群(A群:25%未満、B群:25-50%、C群:50-75%、D群:75%以上)に分類しています。
LENTスコアはイギリス、オーストラリア、オランダの前向きデータベースから開発され、患者を低リスク(中央生存期間319日)、中等度リスク(130日)、高リスク(44日)の3群に分類しています。一方、PROMISEスコアはTIME-1、TIME-2、TIME-3の多施設臨床試験データから開発され、90日死亡率を予測し、4つのリスク群(A群:25%未満、B群:25-50%、C群:50-75%、D群:75%以上)に分類しています。
表. PROMISEスコア
■悪性胸水の存在は進行癌を示し、中央生存期間は通常3-12ヶ月とされているが、個々の患者の生存期間は極めて多様である。悪性胸水患者の生存予測を目的とした複数のスコアが開発されており、最も著名なものがLENTスコアとPROMISEスコアである。
■予測モデルは臨床現場で広く採用されていない。この理由として、開発後の十分な外部検証の欠如や、含まれる変数の性質による予測能力の制限が挙げられている。特に、両スコアにおける腫瘍タイプの3群分類は、異なる悪性腫瘍間の不均一性を十分反映していないとの批判がある。本研究は、これまでで最大規模の独立したコホートにおいて両スコアの性能を評価し、臨床での有用性に関する推奨事項を作成し、スコアの予測能力を制限する要因を明らかにすることを目的とした。
■2015年7月から2023年10月までにオックスフォード大学病院ので議論された悪性胸水患者を対象とした後ろ向き研究である。基本情報の不足や生存期間の追跡不十分な患者を除外し、胸水細胞診や胸膜組織診で確定診断されていない場合でも、議論により悪性胸水と診断された患者を含めた。収集したデータには、年齢、性別、悪性胸水診断日、死亡日、原因癌腫、胸水LDH、ECOG PS、既往の化学療法・放射線療法、血液検査結果(好中球、リンパ球、CRP、ヘモグロビン、白血球数)が含まれた。
■対象となった812名のうち、39名(4.8%)が基本情報や追跡情報の不足により除外され、773名が解析対象となった。患者の50.5%が女性、中央年齢は72歳であった。中央生存期間は158日で、原因癌腫は肺癌(28.6%)、中皮腫(21.1%)、乳癌(16.9%)、消化器癌(9.3%)、婦人科癌(9.2%)が主であった。89.1%の患者で細胞診・組織診による確定診断が得られていた。解析時点で681名(88.1%)が死亡し、92名が生存していた。
■LENTスコアは699名(90.4%)で、PROMISEスコアは636名(82.3%)で算出可能であった。 全生存期間に対する予測性能 LENTスコアの低リスク、中等度リスク、高リスク群の中央生存期間はそれぞれ705日、158日、42日であった。PROMISEスコアのA-D群ではそれぞれ424日、104日、57日、28日であった。Harrell's C統計量はLENTスコアで0.72、PROMISEスコアで0.73であった。
■LENTスコアの低リスク群における中央生存期間は、元の開発研究の319日と比較して705日と著しく長かった。すなわち、低リスク患者に対するLENTスコアの生存期間推定が著しく過小評価している可能性を示している。特定時点での生存予測性能 3、6、12か月時点での死亡率予測性能は優秀であり、両スコアとも各時点でC指数が約0.8を示した。3か月死亡率の実際の割合は、PROMISEスコアの予測とよく一致していた。
■既往放射線療法を除く全ての変数が単変量Cox回帰分析で生存と有意な関連を示した。多変量解析でも同様の結果が得られた。 腫瘍タイプの詳細解析では、血液悪性腫瘍患者の生存期間が他の癌種と比較して著明に良好であった。また、「その他」の悪性腫瘍患者の生存期間は肺癌患者より有意に不良であった。中皮腫では、上皮型の中央生存期間が473日であったのに対し、非上皮型では182日と有意差があった。肺腺癌患者145名中28名(19.3%)に感受性変異があり、主にEGFR変異であった。感受性変異陽性群の中央生存期間は356日、陰性群は126日と有意差がみられた。
■全生存期間に対して両スコアとも予測能力を示した。LENTスコアとPROMISEスコアはどちらも有用ではあるが、決定的ではなく、限界がある。3・6・12ヶ月といった特定時点での生存確率予測においては、両者ともに良好な性能を示し、PROMISEのほうがやや優れていた。
by otowelt
| 2025-06-26 00:46
| 肺癌・その他腫瘍












