HIV陰性ニューモシスチス肺炎に対する全身性ステロイド治療

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HIV陽性例のエビデンスが外挿されていたPCPのステロイドについて、新たなエビデンスです。プライマリアウトカムに統計学的な有意差はついていませんが、個人的にはこの比率なら・・・と思ってしまいます。90日死亡にすると有意差がついています。




  • 概要
■HIV陰性の免疫不全患者におけるPCPの院内死亡率は30~50%である。HIV陽性患者におけるPCPの転帰は、補助的なコルチコステロイドによって改善される。本試験の目的は、急性低酸素性呼吸不全の原因となるPCPを有するHIV陰性患者に対し、21日間の早期補助的ステロイド療法の効果を評価することであった。

■この多施設共同二重盲検ランダム化対照試験は、フランスの27の病院で実施された。対象は、急性呼吸不全で、軽度から重度の低酸素血症を有し、微生物学的検査でPCPが確認され、抗ニューモシスチス薬による治療開始から7日未満の18歳以上である。患者は、ウェブベースのシステムを使用して、全身性コステロイド群(メチルプレドニゾロン:1日目から5日目までは30 mgを1日2回、6日目から10日目までは30 mgを1日1回、21日目までは20 mgを1日1回)またはプラセボ群(等張食塩水2 mLまたは3 mLシリンジの静脈内投与)に1:1の割合でランダムに割り当てられた。

■層別化因子は、施設、試験登録の1か月以上前に開始された長期ステロイド治療、基礎疾患(悪性腫瘍 vs. その他)、ランダム化時の酸素必要量(<6 L/分 vs. ≥6 L/分)である。主要評価項目は、28日以内に死亡した患者の割合として定義された全原因による28日死亡率であり、ITT集団で解析された。

■2017年2月23日から2024年2月23日までの間に、急性呼吸不全を呈したPCP患者466名が適格性評価を受けた。そのうち240名が除外され、226名がランダム化された(プラセボ群114名、全身性ステロイド群112名)。ITT集団には、プラセボ群111名、ステロイド群107名が含まれた。年齢の中央値は67歳(IQR 59-73)だった。男性は126名(58%)、女性は92名(42%)だった。ほぼ全患者(208名 [95%])がランダム化時にICUまたはそれに準じた病床へ入院していた。PCP診断からステロイド療法開始までの期間の中央値は3日(IQR 2~5)だった。患者は13日間(範囲7~20日間)の試験治療を受けた。

■28日死亡率は、プラセボ群で36例(32.4%)であったのに対し、全身性ステロイド群では23例(21.5%)だった(平均差10.9% [95% CI -0.9~22.5]、p=0.069)。

あらかじめ定められた副次評価項目の一つである90日全死亡率では、ステロイド群で28.0%、プラセボ群で43.2%と有意な改善が確認された(ハザード比0.5995%CI 0.370.93]、p=0.022)。注目すべき点として、非挿管状態で試験に組み入れられた患者におけるその後の挿管率が、ステロイド群で10.1%にとどまったのに対し、プラセボ群では26.1%に上っていた(p=0.020)。

■安全性アウトカムについては群間有意差はみられず、二次感染(プラセボ群38名 [34.2%; 95% CI 25.4~43.1] vs ステロイド群25名 [23.4%; 15.3~31.4])およびインスリン必要量(25名 [22.5%; 15.1~31.4] vs 33名 [30.8%; 22.3~40.5])においても有意差はなかった。

■HIV陰性PCP患者において、補助的な全身性ステロイド療法は28日死亡率を有意に低下させなかった。






by otowelt | 2025-07-24 00:42 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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