肺NTM症におけるBACESスコア:オランダのコホート

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韓国から提唱されたBACESスコアですが、オランダのコホートでもその有用性が確認されました。赤沈に馴染みのない国では、CRPが代用されてもよさそうです。






■オランダにおける肺NTM症患者コホートを対象に、BACESスコアが抗菌治療の導入、喀痰培養陰性化、臨床的改善の予測に有用か否かを後ろ向きに検討したものである。

■研究はラドバウド大学医療センターのNTM症専門クリニックで行われ、2008年1月から2024年10月の間にMACあるいはMABS感染症と診断された成人患者を対象とした。

■評価されたアウトカムは、①抗菌薬治療の開始、②培養陰性化の達成、③臨床的改善の3点である。培養陰性化は、4週間以上間隔を空けた2回連続の喀痰陰性、または喀痰採取が困難な場合は気管支洗浄液の陰性によって定義された。臨床的改善は、治療開始前と治療終了時または外来追跡時における主治医の記載内容から判断された。これら2つのアウトカムはいずれも6か月以上の抗菌治療継続を条件とした。

■対象患者195名のうち、170名はBACESスコアを構成する5つすべての項目のデータがそろっていた。残りの25名は1項目のデータが欠けていたが、残り4項目のスコアの合計だけで、どのリスクグループ(低・中等度・高リスク)に分類されるかが明らかだったため、リスク分類に問題はなかった。年齢中央値は65歳で、女性が62.1%を占めた。リスク分類は、低リスク53名(27.2%)、中等度リスク113名(57.9%)、高リスク29名(14.9%)であった。

■治療開始率は全体で76.3%に達し、6か月以上の治療を受けた122名中98名(80.3%)が培養陰性化を達成し、135名中86名(63.7%)が臨床的改善を示した。低リスク群に比して、中等度リスク群(オッズ比2.59、p=0.01)および高リスク群(オッズ比3.91、p=0.03)では、治療を開始する頻度が高かった。診断から治療開始までの期間中央値は、低リスク群で7.8か月、中等度群で3.5か月、高リスク群で2.3か月と、リスクが高いほど短期間で治療が開始されていた。

■培養陰性化については、高リスク群と比して、中等度リスク群(オッズ比3.58、p=0.02)および低リスク群(オッズ比9.0、p=0.01)で有意に高い達成率を示した。特に低リスク群においては、92.3%が培養陰性化を達成しており、高リスク群の57.1%に比べて高かった。ただし、臨床的改善に関してはリスク群間で統計的に有意差はなかった(p=0.13)。 また、感度分析としてBACESの全構成要素が揃っていた患者に限定して解析を行った結果でも、主要アウトカムに対する予測能に変化は見られなかった。

■BACESスコアはオランダにおけるNTM-PD患者においても、韓国の既報と同様に、治療導入の判断や予後の見通しを立てるうえで有用なリスク分類ツールであると考えられる。






by otowelt | 2025-07-31 00:23 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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