COPDにおける気管支拡張症の合併
2025年 08月 10日
とにかく、気管支拡張症がアツイ。近々、DPP-1阻害薬が世に出てくることでしょう。気になるのは薬価。
■本研究は、日本人COPD患者における気管支拡張症の有病率、臨床的特徴、転帰を前向きに観察したコホート研究である。
■本研究では、石巻地域を中心とした地域医療連携ネットワーク(ICON)を用いて、2018年から2025年にかけて登録された安定期COPD患者302名を対象に、5年間の追跡調査を行った。
■登録時のCT検査により、対象患者のうち15%に放射線学的気管支拡張所見が確認された。また、3.3%の患者では3葉以上の関与または嚢胞性拡張を認める高度な気管支拡張所見が確認された。これらの患者は、気管支拡張所見を有さないCOPD患者と比較して年齢が高く、GOLDステージが進行していた。しかし、臨床的指標(呼吸困難、CATスコア、6分間歩行距離、歩数など)や生理学的指標(FEV1、FVC、炎症マーカー)、心理的評価(HADS)などに有意差は見られなかった。
■本研究では、COPDの増悪定義を国際ガイドラインに準じて設定し、軽度増悪(短時間作用型吸入薬で対応可能)を除く中等度以上の増悪を評価した。1年間の追跡で、気管支拡張所見の有無による全増悪率および入院を要する重篤な増悪率には有意差はみられなかった。他方、気管支拡張症重症度指標(BSI)が高値であった患者では増悪率が有意に高く、BSIスコアが臨床的悪化と相関する指標であることが確認された。
■死亡率に関しては、5年間の追跡期間中に274名(90.7%)が完全追跡され、うち62名(22.6%)が死亡した。死亡原因は呼吸器関連イベント(増悪・肺炎)が16.1%、癌が25.8%、心血管疾患や脳血管障害が17.7%、その他あるいは不明が40.3%であった。Kaplan-Meier曲線による生存分析では、気管支拡張所見の有無による生存率に有意差はみられなかった(P=0.85)。
■しかし、気管支拡張所見を有するCOPD患者(45名)においては、以下の5因子が5年後の死亡リスクと有意に関連していた:①FEV1低下(HR 0.96、95% CI 0.92–0.99)、②mMRC呼吸困難スケール(HR 2.24)、③CATスコア(HR 1.17)、④BSIスコア(HR 1.36)、⑤Pseudomonas aeruginosaの喀痰培養陽性(HR 6.77)。本研究では、ROSE基準を用いた評価も行われ、同基準を満たす患者群において有意に死亡率が高かった(45.4% vs 0%、P=0.041)。
■炎症性マーカーとしては、末梢血好酸球数が300/μL以上またはFeNOが35 ppb以上である者が約10%に存在し、一部のCOPD合併気管支拡張症患者において2型炎症が関与している可能性が示された。これは、標準的な治療に反応しない一部の患者において、新たな治療標的として考慮されるべきである。
■本研究は日本人COPD患者における放射線学的気管支拡張所見の有病率が15%であり、臨床的悪化や死亡率とは直接的に関連しないことを示した。ただし、症状が顕著でBSIが高く、緑膿菌定着がみられる患者においては、予後不良となるリスクが高まる。
by otowelt
| 2025-08-10 00:00
| 気管支喘息・COPD










