endTB-Q試験:耐性結核に対するBDLCレジメン

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BDLCは非劣性を示せませんでした。耐性結核の治療では、リネゾリドの毒性がネックになっています。





  • 概要
■pre-XDR結核は、多剤耐性またはリファンピシン耐性結核に加えてフルオロキノロンに対する耐性を有する結核と定義される。2023年のメタアナリシスによると、2013年以降に治療を受けたpre-XDR結核患者の治療成功率は約60%とされており、フルオロキノロン活性の喪失は長期レジメンにおける治療成績悪化の確立されたリスク因子である。WHO承認の6~9か月全経口レジメンであるベダキリン、プレトマニド、リネゾリド(BPaL)は、高度耐性結核において約90%の有効性を示し、pre-XDR結核患者の転帰を改善している。しかし、BPaLを評価した主要なNiX-TB研究は、pre-XDR結核患者71例という小規模であり、かつ試験内に対照群を含まない研究であった。

■本研究(endTB-Q)は、インド、カザフスタン、レソト、パキスタン、ペルー、ベトナムの10病院で実施された多施設共同、非盲検、非劣性、ランダム化比較第3相試験である。15歳以上でリファンピシンおよびフルオロキノロンに対する耐性が確認または推定される肺結核患者を対象とした。参加者は2:1の比率でBDLC群または標準治療対照群にランダム化された。

BDLC群:
・ベダキリン:400mg 1日1回×2週間、その後200mg 週3回
・デラマニド:100mg 1日2回
・リネゾリド:600mg 1日1回×16週間、その後300mg 1日1回または600mg 週3回(毒性に応じて減量)
・クロファジミン:100mg 1日1回

※治療期間は広範囲例では39週間(9か月レジメン)、限定病変例では24週間(6か月レジメン)とし、8週以降の培養陽性例または8週培養結果欠損例では9か月間に延長した。

標準治療対照群:
・対照群では、WHOガイドラインに従った個別化された18ヶ月間の標準治療を実施した。レジメンは通常4-6剤で構成され、参加者の85%(71/84例)が5剤を投与された。全例でベダキリン、クロファジミン、リネゾリドが含まれ、サイクロセリン(78例、93%)とデラマニド(76例、91%)も一般的に使用された。対照群の91%(76例)では、BDLCの4剤に加えて1剤以上の追加薬剤が使用された。対照群の治療期間中央値は78.0週間であった。

■2020年4月4日から2023年3月28日の間に、1030例がスクリーニングされ、324例(31%)がランダム化された(BDLC群219例、対照群105例)。修正ITT集団には247例、per-protocol集団には233例が含まれた。主要評価項目である73週時点での良好転帰は、mITT集団でBDLC群163例中141例(87%)、対照群84例中75例(89%)に達成された(調整リスク差0.2%[95%CI:-9.1-9.5];非劣性p値=0.0051)。Per-protocol集団では、BDLC群157例中138例(88%)、対照群76例中71例(93%)で良好転帰が達成された(調整リスク差-3.5%[-12.8-5.9];非劣性p値=0.037)。

■安全性と有害事象両群で高頻度の有害事象が観察された。BDLC群213例中145例(68%)、対照群105例中77例(73%)でグレード3以上の有害事象が発生した。73週までに、BDLC群で8例(4%)、対照群で2例(2%)の全原因死亡が発生した。特に注目すべき有害事象として、末梢神経障害がBDLC群44例(21%)、対照群26例(25%)で発生し、骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少)がBDLC群29例(14%)、対照群22例(21%)で発生した。リネゾリドが最も頻繁に中止される薬剤であり、対照群では総リネゾリド曝露量が高く、16週での用量減量が日常的に行われていなかった。再発と薬剤耐性獲得特に懸念される所見として、BDLC群では8例(5%)で再発が発生したのに対し、対照群では再発例はなかった。

■薬剤耐性獲得について、BDLC群163例中14例(9%)でBDLCレジメンの少なくとも1剤に対する耐性獲得が発生したのに対し、対照群では84例中2例(2%)のみであった。耐性獲得はベダキリンとクロファジミンに最も多く、次いでデラマニドとリネゾリドの順であった。病変範囲による治療効果の違い事前に規定されたサブグループ解析では、ベースラインの病変範囲により治療効果に差が認められた。限定病変例では、BDLC群58例中54例(93%)、対照群32例中28例(88%)で良好転帰が達成され(リスク差5.6%[-7.6-18.8])、BDLC群で良好な結果が示された。一方、広範囲病変例では、BDLC群105例中87例(83%)、対照群52例中47例(90%)で良好転帰が達成され(リスク差-7.5%[-18.3-3.2])、対照群でより良好な結果が示された。

■BDLCは87%の参加者で良好転帰を達成し、これはpre-XDR結核の世界平均を大幅に上回り、最近の多剤耐性・リファンピシン耐性結核試験結果と同等であった。しかし、BDLCは対照群に対する非劣性を示すことができなかった。






by otowelt | 2025-09-18 00:39 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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