アリケイス投与後の肺異常、投与継続可能か?

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アリケイス投与後の肺病変については、おおむね軽症で継続できるという貴重な報告です。非空洞型に対する効果が良好という点は、報告が集まってきましたね。






■研究は二施設(結核予防会複十字病院、東邦大学医療センター大森病院)で2021年8月から2023年9月にALISを導入した難治性肺MAC症87例を連続登録し、うち有害事象評価は76例、治療有効性評価は49例で行われている。症例の平均年齢はいずれも68歳、女性が約9割で、体格はやせ傾向(BMI中央値17.8kg/m²)であった。起因菌はM. aviumが約8割を占め、治療有効性評価群の30.6%にクラリスロマイシン耐性、65.3%に空洞病変がみられた。

■全体の喀痰培養陰性化率は28.6%であったが、非空洞例では64.7%と有意に高値だった。培養陰性化と関連した予後因子は、高いBMI(19.5 kg/m² vs 17.2 kg/m²、p=0.010)、アミノグリコシド既往投与率の低さ(50.0% vs 91.4%、p=0.003)、空洞率の低さ(21.4% vs 82.9%、p<0.001)、NICEスコアで算出した画像重症度の低さ(7.0% vs 14.0%、p=0.006)であった。

■最も頻度の高い有害事象は嗄声で、53.9%に生じた。ALIS投与中に胸部CTを行った67例のうち、新規のALIS関連肺異常(ALIS-RLA)は82.1%に認められ、その内訳は多発結節パターン35例(79.1%)、OPパターン18例(26.9%)、DADパターン1例(1.5%)、HPパターン1例(1.5%)であった。ALIS-RLAを有する患者の92.7%は無症候性で、85.5%はALIS継続が可能であった。

■肺MAC症の進行を抑止するには、早期段階でALISを導入することが肝要である。ALIS-RLAは患者の82.1%で観察されたが、無症候例ではALISの中止は不要であると考えられた。





by otowelt | 2025-10-13 00:54 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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