終末期ILDにおけるせん妄のリスク因子
2025年 10月 17日
当院における研究です。筆頭著者は久瀬雄介医師です。認知症・身体抑制が強いシグナルであることを踏まえ、死亡前数週の段階からNu-DESC等を用いた定期的スクリーニングと多面的非薬物介入(睡眠衛生、昼夜リズム、感覚入力最適化、再定向、早期離床)を組み込むべきという見解です。
- 概要
■本研究では、終末期ILD患者におけるせん妄の発現率と発症リスク因子を調査した。
■本後ろ向き観察研究は、2020年4月から2022年9月の間に国立病院機構近畿中央呼吸器センターに入院し、入院中に死亡したILD患者を対象とした。肺がん併存例、死亡7日より前にせん妄があった症例、死亡7日以内に入院しせん妄を発症しなかった症例は除外した。主要評価項目および副次評価項目は、せん妄を呈した患者の割合とせん妄に関連するリスク因子とした。せん妄はNu-DESC(Nursing Delirium Screening Scale)≥2で定義し、医師・看護師の診療録記載から5名の医師が後方視的に推定・評定した。
■本研究には合計85名の患者が登録された。LD内訳はUnclassifiable IIP(UCIP)が32.9%と最多、次いでIPF 21.1%、CTD-ILDs 17.4%、iPPFE 10.6%、fHP 9.4%など。この85名のうち38名(44.7%)にせん妄が認められた。認知症患者は、認知症のない患者と比較して、せん妄の発症リスクが有意に高かった(リスク比2.38、95%信頼区間1.84–3.08)。また、身体抑制を受けた患者は、身体抑制を受けなかった患者と比較して、せん妄の発症リスクが高かった(リスク比2.32、95%信頼区間1.84-3.08)。ステロイド使用(リスク比1.65, 95%信頼区間0.88–3.10)、高用量メチルプレドニゾロン≥500 mg/day(RR 1.13, 0.66–1.92)、オピオイド使用(リスク比1.01, 95%信頼区間0.58–1.76)、ベンゾジアゼピン使用(リスク比1.46, 95%信頼区間0.80–2.65)、新規感染、救急入院、電解質異常などは有意ではなかった。
■終末期ILD患者ではせん妄がよくみられる。認知症と身体拘束はせん妄の危険因子となる可能性がある。医師は末期ILD患者におけるせん妄の危険因子を認識し、その発症に備える必要がある。
by otowelt
| 2025-10-17 10:55
| びまん性肺疾患










